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一色  作者: 相原ミヤ
火の国の夏に降る雪
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赤と影の国の術士(6)

 悠真が柴の戦う姿を見たのは初めてではない。団子屋で、柴はイザベラと戦った。柴は強い。野江が陽緋となる前、陽緋として戦っていたのは柴だった。

 柴が追い込まれている。柴が追いつめられている。


「柴……」


悠真は思わず口にした。このまま、柴が負けることは避けたかった。この状況を打開できる人は一人だけだ。


――紅。


悠真は紅を思った。先の義藤と赤丸の争いと同じだ。紅でしか、止めることはできない。どんな時でも、紅に頼ってしまう。それは、紅が信頼されているという証拠だ。


――紅。


悠真は紅を思った。紅しか、この争いを止めることはできない。


――紅。


そして悠真が願ったとき、空に一つの影が見えた。


 空の影は二つの紅の石の力の衝突をもろともせずに、官府の庭へと下り立った。それは、まぎれもなく空挺丸であった。間違いない。空挺丸から降りてくるのは、鮮烈な赤色。そこにいるのは、紅だ。姿をみせないが、そこに紅がいる。鮮烈な赤色がそれを示している。

「紅!」

義藤が叫んだ。空挺丸を動かしながら、野江が空挺丸ごと紅を守っている。


「野江……」

義藤が安堵したように息を吐いた。野江が命の危機に瀕していたのは数刻前のこと。白の石が赤星の手によって届けられたのだ。野江がいるだけで、状況が変わる。

 下村登一の乱の時、閉塞した状況を打開したのは紅だった。紅の登場と紅の行動がすべてを変えたのだ。このまま、柴と萩が戦い続ければ、結末は目に見えている。柴が殺されてしまう。どれだけ柴に覚悟があっても、柴の死は大きな悲しみを与える。柴が担っている役割は大きいのだ。

 下村登一の乱の時と同じだ。紅がいるから、救われる。どうやって戻ったのかわからない。イザベラが空挺丸から飛び降りて、赤い渦を見ていた。黒の色神も一緒なのだろう。同時に姿を現した人は二人いる。


「アグノ!」


ソルトが高い声を上げた。

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