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一色  作者: 相原ミヤ
火の国の夏に降る雪
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赤と心を捨てた者(17)

 乱れる色が視界を遮る。紅の石の力がぶつかりあっているのだ。それはまるで、赤い壁だ。


 乱れる赤い力でできた赤い壁に隠れていた赤丸が、赤い壁を切り裂いて姿を見せたのは数刻後のこと。


――厄色


悠真はその力を思い出した。赤丸の一色は色に厄を与える。その厄のために、黒の色神「クロウ」も、赤の色神「紅」も暴走をしたのだ。黒は厄色を持つ赤丸を恐れていた。厄色は強大な力を持つ。色に厄を与えるだけでなく、色の力を収束させることができる。先の紅の暴走を抑え込んだのは、赤丸だった。

 赤い壁を切り裂いたのは、厄色の力だ。赤丸は乱れる赤を収束させて突き進み、一気に心を捨てた二人の懐へともぐりこんだ。先に近づいたのは松の方だ。松のすぐ近くまで接近した赤丸は、松の肩口を小刀で貫いた。

 赤丸の奇襲で、松は紅の石を取り落した。松の力が消えて、均衡が崩れた赤い力の渦は義藤に軍配が上がった。義藤は紅の石の力で、「べるな」を弾き飛ばした。


 心を捨てた者の力が弱まったのか、水に捕らわれていたイザベラが解放された。イザベラはまるで犬のように体を振ると、黒の色神に今の状況を伝えるかのように、義藤と赤丸の様子を見ていた。


「殺すな!」


義藤の強い叫び声が響いた。義藤の声の先には、松を抑え込み小刀を突きつける赤丸の姿があった。心を捨てた松は、腕をねじりながら逃れようとしていた。松自身の身が傷つこうと気にしていない。

 義藤は松を押さえつける赤丸ににじり寄った。

「彼らを殺しても何にもならない」

義藤の声は低い。赤丸も義藤と同じ声で返した。

「殺したくはないさ。だが、この暴れる術士をどうやって捕える?あの支配者を斬れば片付くと思ったが、そうでもないらしい。こいつらが口にした薬に何の効果がある?どうやれば、心を取り戻す?それすら分からぬのに、永遠とこいつらを押さえつけることはできない。お前はあまい。義藤。それが、お前の強さでもあり、弱さでもある」

義藤は刀を抜いている。その刀の先は松に向いているようで、赤丸に向いているようでもある。義藤はゆっくりと口を開いた。


「己の弱さぐらい理解しているつもりだ。俺は、弱い。本当に弱い。でも、これが俺の信念だ。己の信念のために、俺はさらなる強さを求める」


義藤の声に赤丸は鼻で笑った。

「赤山という年老いた赤影がいる。先々代の赤丸さ。先代の赤丸にその座を譲り、今でも赤影として戦い続けている。お前も会っただろ。赤山が言っていたさ。先代の赤丸は優しい人だったと。赤影の新たな道を切り開いた人だと。殺さずに戦う赤影の形を作り出したのは先代だ。だから、赤影たちは口にしていた。義藤を赤丸に、とな。もう、死んだ赤影たちだ」

義藤と赤丸は同じ顔をしているのに、まぎれもなく別人だった。


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