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一色  作者: 相原ミヤ
火の国の夏に降る雪
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赤と心を捨てた者(15)

義藤も赤丸も天才だ。


二人の天才が、心を捨てた者と戦っている。戦うことに意味があるのか。戦うことで未来が開けるのか。戦いの果てに待つものが、決して良いことだけでないことを、悠真は既に知っていた。


 官府で暴走した黒の色神と紅。暴走の果てに紅は命の選択を強いられた。柴の命、赤星の命、そして赤丸の命。三つの命の選択を迫られた紅の悲しそうな表情が悠真の胸に残っている。


 戦いの果てに待つものは、決して良いことだけでない。


 二人の天才が、心を捨てた者と戦っている。


 悠真は息を呑んだ。色の力が乱れ飛ぶ。寸分の狂いもなく動く二人の天才と、二人の心を捨てた者。義藤が使う紅の石の力。それを補佐する赤丸の紅の石の力。まるで、暴走するかのように、心を捨てた者は色の力を使い続けている。義藤と赤丸は防いでいるだけでない。だが、悠真には不安があった。きっと、杞憂で終わるだろうが、悠真の心にしこりがあった。


――強いが優しい義藤。

――優しいが強い忠藤(赤丸)。


二人は似ているようで、根本が違う。

 赤い夜の戦いで、義藤は秋幸ら、四人の隠れ術士と戦った。義藤は優しい。その戦いは、命を奪わない。心を捨てた者と、戦って、降伏させることができるのだろうか。きっと、心を捨てた者は、戦いをやめない。

 下村登一の屋敷で、義藤に扮した赤丸は、迷うことなく下村登一の命を奪おうとした。赤丸は強い。大切な者のためならば、容赦なく命を奪う。きっと、赤丸は心を捨てた者の命を奪うはずだ。影の国の老人を斬り捨てたように。


 義藤と赤丸は違う。どちらが正しいとか、どちら間違いとか、そういうことではない。命を守る優しい義藤も、目的のために命を奪う赤丸も、どちらも間違っていない。無力な悠真には、どちらが正解で、どちらが間違っているのか、どちらを選ぶべきなのか、そんなこと分かるはずもない。



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