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一色  作者: 相原ミヤ
火の国の夏に降る雪
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赤と心を捨てた者(10)


 人であることを捨てた二人。

 人でありながら戦う二人。


 悠真はただ、じっと見つめていた。


 駆け出したのは、人であることを捨てた二人が先だった。彼らは同時に駆け出し、同時に青の石の力を発動した。義藤は紅の石の力を使うことに優れている。そして秋幸は、様々な色の石の力を使うことに優れている。はずだった。


 不思議なことに、今の秋幸の一色は「赤」に偏っている。


 義藤と秋幸は同時に紅の石の力を発動した。二人の力は強大だ。努力を惜しまぬ天才である義藤。そして、未来を期待される秋幸。二つの赤い力は、人であることを捨てた二人の青の石の力を抑え込んだ。

 水が濁流となって流れる。悠真の足元も水が流れていた。これだけの力があれば、空梅雨を恐れる必要はないだろう。幾反もの水田に水を満たすほどの水量だった。

 力を切り替えたのは、人であることを捨てた二人だ。二人は青の石から黄の石へと力を変えた。庭の土がうごめき、鋭い岩が地から次々と突き出てきた。義藤と秋幸は同時に上

に飛び上がり、紅の石の力で鋭い岩を打ち砕いた。

「**********!」

もう一度、老いた男が叫んだ。悠真には聞き取れない声だ。

 すると、人であることを捨てた二人は、再び何かを口の中に入れた。


 色が変わる。

 許されることでない。


 悠真は単純に恐れた。得体のしれない力がそこにあるのだ。人であることを捨てた二人は、もはや人でなくなっていた。容姿は人だが、彼らに思考があると思えなかった。感情があるとも思えなかった。人でなくなった二人の色は変じ、さらに強まった。


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