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一色  作者: 相原ミヤ
火の国の夏に降る雪
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赤と心を捨てた者(7)


感情を捨てること、心を捨てること、それが何を意味するのか悠真は知らない。


「感情など、必要ない。存在してはならない。依頼を実行するために、我らは存在する。負けることは死と同じ。二年前、十年前、影の国の術士は敗れて死んだ」


松の言葉。そして、義藤。二人を割くような声は、戦いの後ろにいた老人だった。

「**********!」

何の言葉なのか悠真には分からない。ただ、明らかなことは老人の声に松が過敏に反応したことだ。


「情けを示してくれたことには感謝する。火の国の赤の術士よ。だが、我らは影の国の術士。決して、逆らうことは出来ない。俺には、萩のような勇気はない」


空気が変わった。

悠真にも、それは分かった。


べるなに目を向けると、彼女は何かを口にした。直後、彼女の持つ色が強まった。べるなの色の石を使った攻撃。義藤はそれを紅の石の力で受け止めた。しかし、耐えることが出来ず、弾き飛ばされた。弾き飛ばされた

 義藤の刃から解放された松は、べるなと同様、何かを口の中に入れた。すると、松の持つ色も格段に強まったのだ。

 義藤は着物についた埃を払い落としながら、立ち上がった。弾き飛ばされて地に倒れても、義藤は刀を握っている。埃にまみれた身体でも、義藤の隠しきれない品の良さが溢れていた。

「何をした?」

義藤は一つ尋ねた。それは悠真も同じ気持ちだった。明らかに色が変じている。義藤には色が見えないだろうが、空気が変じているのは明らかだ。外見も変わっている。二人の顔色が異常に悪い。同時に、彼らの動きが変わった。色の石を使えば、力が強い。刀を振れば、瞬発力が高い。腕力も上がっているのだろう。打ち合いで義藤が押されることが増えた。


「気持ち悪い、何なんだ」

秋幸が低く言った。目の前では二人の影の国の術士と義藤の戦いが続いている。先ほどまでは、義藤が遊ぶように二人を相手にしていたのに、今は違う。義藤は防戦に回っていた。それでも、二人を相手にして押し負けないのは、さすが義藤の実力だと言うことだ。


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