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一色  作者: 相原ミヤ
火の国の夏に降る雪
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赤と心を捨てた者(3)


二年前、赤の術士は戦った。都南と佐久が大きすぎる代償を支払ったのも二年前だ。紅城の中枢にいた惣次も戦う力の大半を失い、悠真の故郷へ隠居する形で派遣される形となった。


 二年前の戦いで赤の術士は戦い、赤の仲間が失ったものは大きい。


「二年前」

義藤の色が張りつめた。強い赤色がそこにある。刃物のように鋭い色だ。

「お前も二年前の紅城の襲撃にいたのか?」

義藤が言い、彼は苦笑した。

「そんなことはない。その時戦った術士は、赤の術士に殺されるか、影の国で処刑された。生き残ったのは、彼ぐらいだ。だから、火の国に派遣されている術士がこんなに少ない」

義藤が言った。

「良かった。それなら、俺はいつもの俺として戦うことが出来る。――名前は何と言う?」

彼は答えた。

「それを聞いてどうなる?――だが、教えよう。我が名は松。彼女はべるな」

松という男は、老人のことを何も言わなかった。悠真はそれが気になったが、義藤と松の間に割って入るような雰囲気はない。

「――やはり、火の国の名だな。名を知った。大した意味がないようであるのさ。紅へ少しでも多くの情報を渡す必要があるからな」

言って振り返った義藤はイザベラを見て続けた。

「松、悪いがここで足止めさせてもらう。白の色神のところへはたどり着けないさ」

義藤が言うと、松と「べるな」が同時に刃物を抜いた。


「********!」


大声を上げた年老いた男の声を皮切りに、二人の影の国の術士は駆け出した。


「悠真、下がってろ。秋幸、悠真を頼む」


言って駆け出したのは、義藤とイザベラだった。


 年老いた男は戦いに加わっていなかった。だから、実際のところは義藤とイザベラの二つの力と、松とべるなの二つの力が戦っていた。松とべるなの戦い方は、術士となって火の浅い悠真でも、それが赤の術士の戦い方と異なることを理解することが出来る。


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