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一色  作者: 相原ミヤ
火の国の夏に降る雪
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赤が戦う理由(12)


 浮雲に乗って紅城を抜け出すとき、赤星が一緒だった。誰が見ても、赤星は賢い犬だ。都では、何事もないように民の日々の生活が営まれている。秋幸は平然と浮雲を走らせ、悠真は必死に秋幸にしがみついていた。

 馬よりも早く駆け、馬よりも息を切らさずに走る赤星は、やはり普通の犬と違うようだった。赤星が先導し、人をかき分けていく。悠真たちは何とも迷惑な存在だろうが、今はそれを気にしている暇はない。だからだ。だから、悠真たちはすぐに官府へたどり着いた。


 官府には二人の見張りがいた。下緋だ。そんな彼らも秋幸と悠真の顔を知っているらしい。若すぎる術士は、紅城の中でも目立つ。乗っている馬が陽緋野江の馬であることにも気づいたのかもしれない。彼らは何も言わずに門を開いた。

「白の色神を探せ、秋幸。お前なら、色が見えるだろ」

赤星は当然のように秋幸に命じた。


「白は、あっちだ」


瓦解しかけた官府。人の姿はあまりなかった。その中で微かに白の色が見えた。ここに影の国の術士が潜んでいるとは思えない。あるのは、荷物をまとめて官府から離れる官吏の姿だけだ。そして、官吏の避難の誘導をしているのが、絹姫に跨った義藤だった。絹姫の背の上は、誰よりも義藤が似合っていた。


「お前たち……」


義藤は悠真たちを見て目を見開き、そしてそれ以上何も言わなかった。

「柴のところへ行け。――秋幸、冬彦も無事だ。良かったな」

義藤が指差した方向には、白色が強く溢れていた。



 柴と白の色神はすぐに見つかった。


浮雲を官府の隅につないで、悠真たちは徒歩で官府の中へと足を踏み入れた。


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