赤が戦う理由(2)
ただ、時が流れていた。悠真と秋幸はじっと座っていた。じっと耐えていた。落ち着き、耐えていた。動くことは出来ない。じっと座って、待っていた。時を待っていた。
どれくらいの時が流れたのか分からない。悠真は秋幸の身体が強張るのを感じた。
「紅の言葉か?」
悠真は秋幸の変化を見逃さなかった。悠真には分からない変化。術をまともに使えない悠真は紫の石を持っていない。悠真に紅の言葉は届かない。秋幸はしばらく一点を見つめ、悠真を見つめた。
「紅の言葉だ。――白の色神は官府にいる」
それからしばらくして、秋幸は言った。
「紅が呼んでいる。紅の間に来いと言っている。どうやら、紅はすぐに動くつもりがないみたいだね」
秋幸は言うと、立ち上がった。
「行こう、悠真。俺たちも呼ばれている」
秋幸が障子を開き、悠真は秋幸の後を追った。
紅のいる部屋へと、悠真は階段を上る。今回は道に迷うことはなかった。どこか分からない場所ならまだしも、自室から紅の部屋までの道のりなら理解している。悠真は秋幸と一緒の先を急いだ。
紅の間の前には、義藤が正座をしていた。それは、悠真が野江と一緒に初めて紅と出会った時と同じだった。義藤は正座をして、朱塗りの刀を立てて持っていた。
「――紅が待っている。入れ」
義藤は戸を開いて、悠真と秋幸を紅の間に入れた。それは、悠真が義藤と初めて出会った時と違う行為だった。