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一色  作者: 相原ミヤ
火の国の夏に降る雪
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紅城の赤い時間(8)

 悠真には、紅は秋幸に期待しているのだと思っていた。秋幸の力は上の仲間たちも認めている。野江や都南、佐久に柴も認めている。だから、秋幸は期待されているのだと思っていた。万に一つも警戒されているとか、監視されているとかいうことは思い浮かばない。秋幸は悠真よりも深い所で物事を考えて、悠真よりも遥かに先のことを見通している。それが秋幸の才能だ。悠真に大した力はない。しかし、悠真は秋幸の力を知っている。この先、紅城を守るために必要な力だ。柴よりも少し若い世代が野江、都南、佐久だ。そして三人よりも若い世代が義藤だ。そして、義藤よりも若い世代の力が秋幸なのだ。

 秋幸が実力で春市と千夏を外したと言った。紅はそんなことをする人ではないと信じていたかったが、言われてみれば納得する部分もある。春市も千夏も優れた術士であるが、今後、陽緋や朱将と言った特殊な役職に就くとは思えない。彼らの才能は、陽緋や朱将の右腕となる力だ。

 ならば秋幸はどうだ。秋幸の一色を悠真は見ている。平凡な赤色。だが、その赤色に引き込まれる。平凡なのに深みがある色。強さがある鮮烈な赤をもつ紅とは違う色だ。だが、悠真は知っている。平凡に見える秋幸の一色が強い力を持つことを。

「紅は秋幸を監視なんてしていないさ」

悠真は秋幸に言った。紅は、秋幸に無色を持つ無力な悠真の護衛を依頼しているだけなのだ。年齢の近い秋幸はとても気安い。だからに違いない。

「そう、思うようにしているよ。紅はとても強い人だ。そして、赤の色神として生きる道を知っている。戦う力に優れ、行動力に優れ、知性に優れ、紅として国をまとめる術を知っている。俺は紅の期待に背くようなことはしないさ」

秋幸は、姿勢を正して箸を手に取った。秋幸のことがつかめないと思ったのは、この時だけじゃない。悠真はただ、秋幸を見つめていた。

「悠真、早く食べよう。片付けをしてくれる人がいるから」

秋幸の言葉に従うように、悠真は箸を手に取った。


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