表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一色  作者: 相原ミヤ
火の国の夏に降る雪
556/785

緋色の温もり(3)

 鶴巳が傑作と呼べるからくり「空挺丸」を作ったことで、地方の安定につながった。不信な動きがあれば、いつでも中央の術士が確認に行くことが出来る。火の国は小さな島国であるが、馬を飛ばしても端々まで移動するには数日がかかる。空挺丸を使用するには、紅の石の強大な力が必要であるが、現在、使用できる術士は多い。野江、佐久、そして短距離であれば義藤や柴も可能だろう。今後、秋幸も使用できるようになるはずだ。

 それでも、地方の端々まで目を向けることは難しい。地方に派遣されている下緋が襲撃されても、中央の紅が危機を知るには紅の石の使用で想像するしかない。だからこそ、柴の果たす役割は大きい。柴の役割は加工にとどまらない。紅城に加工師はそれなりに存在する。一色を見ることが出来なくても、ある程度感じることが出来れば、加工は可能なのだ。それでも柴の加工が必要とされるのは、半端な加工師が加工した石は、野江や佐久、義藤の力に耐えられないのだ。だからと言って、加工されていない石を使用することも出来ない。加工されていない石は強度に欠けるのだから。柴が地方を回り、地方の情勢を観察する。柴一人で解決できる事案も多い。

 柴が戦うとその力に驚かされる。とにもかくにも、柴は強い存在なのだから。二年前、柴がいたから、都南も佐久も紅城に残ったのだ。


「本当に、あたくしという人は……」


野江は布団の上に身を起こして、開かれた障子の隙間から外を見た。外廊下に面した中庭では行燈が灯されている。夏の近づく時期、少し暑さのある風が部屋の中へ吹き込んでくる。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ