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一色  作者: 相原ミヤ
火の国の夏に降る雪
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赤い免罪符(6)

紅城の中枢、幹部たちが集まっている。新参者の春市と千夏は外されている。圧倒されるような溢れる赤に、悠真は一歩後ずさりした。

「お前たちも入れ。悠真、秋幸」

紅は言った。溢れる赤は、紅だけでない。義藤や野江、遠次が持つ赤もこの部屋に満ちていた。なのに、不和を感じる。黒の色神クロウの存在が、異質であったが、平然と座っている彼を見ると、流石色神だと思わされる。

「まったく、散々心配掛けやがって。野江」

柴は一つ言った。紅に指示されれば、悠真と秋幸も柴の後ろに座るしかない。すると、義藤が流れるような所作で立ち上がり、障子の横に膝をつくと当然のように開かれたままの障子を閉めた。


「野江、よく無事だったな」


柴は言った。襲撃された野江。悠真も秋幸も心配していた。傷ついているとはいえ、野江がそこにいることに安堵したのは悠真だけでないはずだ。

「ええ、特に何も問題ありません」

野江が柴に目を向けて答えた。柴は鼻で笑った。

「相変わらず、野江は強いな」

柴は大きく微笑んだ。一つ一つに大きさを持つ柴らしい笑いだ。その柴につられるように、紅が鼻で笑った。

「それで、柴。今日一日はどうだった?」

紅が柴に尋ねた。悠真は柴が浅間五郎について口にすると思っていたが、彼は何も答えなかった。浅間五郎のことも、矢守結びのこともだ。

「いや、一日、森と都を駆け回っていただけだ」

事実、悠真たちは駆けまわっていたが、鍵は見つけた。矢守結びと浅間五郎だ。しかし、柴は何も答えなかった。悠真はそんな柴に何も言えず、紅に柴が隠し事をしていることを言うことができなかった。困って悠真は秋幸に目を向けたが、秋幸はじっと紅を見つめていた。ここは悠真が口を開く場所ではない。悠真は口を閉ざし、紅を見つめた。紅の鮮烈な赤が一層強まった。


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