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一色  作者: 相原ミヤ
火の国の夏に降る雪
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赤い追跡者(5)


――影の国。


悠真が初めて聞く国名だ。そもそも、鎖国をしている火の国の民である悠真は、異国に対して認識が甘い。悠真が佐久から受けた授業の中に、影の国の名は出てこなかった。佐久が知っているのかどうかは分からない。その国の名を、その国が襲ってきたことを、柴は知っている。

 柴の声は響く。

「影の国の狙いが何か分からない。もしかしたら紅、狙いはお前かもしれないぞ。色神を殺すことだって、影の国ではあるのだ。影の国の規則の一つにある。命を使え。とな。命を捨ててでも、依頼を実行するのが影の国。だから、影の国では、若くして命を落とす者も多い。それは、英雄扱いだ」

悠真は影の国を想像した。赤影のような者が大勢いるのだ。その影の国の者が野江を襲い、野江は敗れた。

「紅、何か分かったら連絡する。そちらに何かあったら、連絡してくれ。あと、黒の色神は近くにいるのだろう?イザベラをそちらへ返したい。黒の色神にそのように伝えてくれ。影の国が動いている。その時点で、いつ襲撃されても対抗するだけの準備をしなくてはならない。狙いは黒の色神の可能性もあるのだから。俺が戻った方がいいだろうが、影の国の目的が分からない以上、俺は外から調べる。安心しろ、影の国のことは、きっと俺が一番詳しい」

柴の笑いを含めた口調が印象的だった。

「それじゃあ、紅。くれぐれも、用心をしてくれ。忘れるなよ、お前の命はお前だけのものじゃないんだ。お前が紅として生きているから、俺たちは術士としてお前と共に歩むんだ。次の紅が現れる、なんて馬鹿げたことを言うんじゃないぞ。次の紅に俺たちが従う保証なんてないんだ。色神は、色の石を生み出すだけの存在じゃない。忘れるなよ、紅」

柴の言葉の一つ、一つに大きさがある。人を包み込み、守る。紅を支える。そして悠真たちを導くのだ。


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