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一色  作者: 相原ミヤ
火の国の夏に降る雪
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赤い追跡者(4)


「悠真」

囁くような小さな声で秋幸が悠真を呼んだ。悠真がその声に振り返ると、秋幸は微笑んだ。

「大丈夫だよ。先の戦いで、俺は紅と義藤と行動を共にした。彼らは強い。時に、俺なんかが考え付かない行動をして、戦いを切り抜けている。ここは小さな火の国。宵の国や雪の国と比べれば、本当に小さな火の国。それでも、この火の国の中で生きている俺たちにとって、世界はこの火の国だ。俺の世界の全ては、この火の国の中だ。――この火の国を総べるだけでも、それは莫大な労力の賜物。多くの人が火の国を動かすために働き、多くの人が火の国を守るために戦っている。間違いなく、柴はその重鎮だよ。紅は柴を信じている。ならば、柴の秘密さえ信じているんじゃないのかな」

秋幸は平凡だけれども、悠真よりも深いところで物事を考えている。それは悠真に出来ないことだ。


 変わったことがあるとすれば、柴が何かしらの確信を得て動き始めたということだ。間違いなく、柴は答えを見つけかかっている。野江を襲撃した敵の正体だ。悠真はその一端も理解できない。

「紅」

柴が舞風の手綱を持ち口にした。その言葉は紫の石に向けられている。柴と紅の秘密の会話だ。

「野江を襲った敵は、影の国の者の可能性が高い。――その反応だと、あまり知らないな。気をつけろ。影の国は、傭兵の国。一流の傭兵を育てて、金で依頼を実行することで国を成り立たせている。流の国同様、色神を持たずして優れた発展を遂げている。表の世界で立たず、裏の世界でな。国というには規模が小さい。ほんの小さな島に、人が住んでいる。国民の大半は、異国へと足を運び、常に依頼を実行している。術士も、術士でない者も、優れた戦闘能力を持つ。人殺しに慣れているから、襲撃することも慣れている。赤影がたくさんいるようなものだ。野江が突然襲われて、敗れたのも理解できる」

柴の声は大きい。だから悠真には柴が紅に伝えたことが聞き取れた。



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