表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一色  作者: 相原ミヤ
火の国の夏に降る雪
482/785

赤い追跡者(2)

 この状況で、柴は紅の要だ。その柴が何かを隠している。それは、嫌な気分だった。柴が先代紅を支え、今の紅を守り、野江や都南、佐久らを導いてきたのは事実だ。その柴が隠し事をしている。もし、野江を襲撃した敵の正体を知っているのなら、それは柴の紅への裏切り行為。見逃すことは出来ない。

「何を隠しているんだ?」

悠真は柴に問うた。しかし、柴は大きく笑っただけだ。

「俺の一色を覗いたか?だがな、お前の目は未熟だ。この言葉の意味分かるか?」

柴の大きさは変らない。柴は大きい。

「人は誰にでも知られたくない過去がある。それは、もちろん俺にも当てはまる。この俺も、知られたくない過去がある。言っただろ、俺はかつて戸籍の無い身。秋幸と対して変わらない。悠真のことを小猿だというが、俺は悠真以上に劣悪な環境生まれだ。その環境で育った。先代の紅と赤丸に救い出されるまでな。それ以上、探るな」

柴は大きい。その大きさが強さだ。大きさが強さとなり、悠真を萎縮させた。そんな悠真の肩を叩いたのは秋幸だった。

「矢守結びは、色神を祀る杜で使われる結び方だ。悠真の村にもあっただろ。その戸結びの仕方、鳥居の結び、そのすべてが矢守結びと決まっている。これは、難解な結び方で、ほどけにくい。その上、結び目が美しいだろ。神に捧ぐに相応しい。その結びを暇つぶしにする。それは、確かに高尚な者だ。この結びは火の国にしか存在しない。火の国で結ばれる神へ捧げる結び方を、火の国で結ぶ。俺は、敵が紅を憎んで狙っているようには思えないよ」


――矢守結び


秋幸も柴も結び目を見ただけで、そのように断言する。変わった結び目としか思えない。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ