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一色  作者: 相原ミヤ
火の国の夏に降る雪
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囚われの緋色(10)

「あなたたち、何が目的なの?」

野江は敵の男に言った。興味もある。理由がしりたい。火の国の中で渦巻く、野江の知らない陰謀の存在が気持ち悪い。

「目的?安心しろ。今回の雇い主の狙いは、赤の色神じゃない。不必要な殺生を行わないのが、俺の信念でな。だが、そう思わない者もいる。障害となる者はすべて殺せと。生きていることに感謝しろよ」

敵の男は、異邦人に言った。

「そこの陽緋を救えるな」

「************」

何も見えないだろう、異邦人は答えた。

「何がいる?」

「************」

二人の会話は続く。異邦人と言葉を交わす。ということは、敵の男は紫の石を使っているのだ。敵の男が紫の石を使うから、男の言葉が異邦人に届き、異邦人の言葉は男に届く。部外者である野江たちには届かない。敵の男の言葉は、今、雪の国の言葉に翻訳されているのだ。黒の色神と対話するとき、当然のように紫の石を使用していたが、外部から聞くとこのように聞こえているのだと思うと、不思議な気持ちがした。

「分かった、用意しよう」

「************」

異邦人の言葉に、敵の男は言った。

「この男は、雪の国の男だ。雪の国と言えば、医療の国。術士の陽緋殿たちなら御存知だろう。見てもらえ」

「************」

異邦人の男は何かを言ったが、野江には聞き取ることが出来ない。異邦人なのに、着物を纏っている。ということは、この国にいる時間がそれなりに長いということだ。敵の男は、異邦人にかぶせていた麻袋を外した。そこから、姿を見せたのは珍しい髪の色と目だった。雰囲気が柴と似ているように思うのは、きっと異邦人が大きさを持つからだ。大きさは安心を与える。

「分かった、後はお前に任せる。だが、だからと言って交換条件は飲まない」

「***********」

そして敵の男は牢の鍵を開き、異邦人を牢の中へと投げ込んだ。足を痛めている異邦人は、踏ん張ることが出来ず、牢の端に倒れ込んだ。

「少し待っていろ」

言って、一度立ち去った敵の男はすぐに戻ってきた。


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