表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一色  作者: 相原ミヤ
火の国の夏に降る雪
446/785

赤い影への憧れ(19)

 表に出ると、柴は杭から舞風の手綱を外すと背に飛び乗った。そして、悠真の手を差し出した。

「急ぐから、悠真はこちらへ来い。舞風の方が力が強いから、二人乗りには適している。俺を乗せて、悠真を乗せても駆けることが出来る」

抗えない空気があり、悠真は柴の手を取った。すると、信じられない力で悠真は上に引き上げられたのだ。大きな柴の手と比べると、悠真の手は子供のようなものだ。腕一つの力で引き上げられた悠真は、柴の後ろに乗った。柴の馬「舞風」は、義藤の馬「絹姫」よりも大きい。背が高く感じる。

 秋幸もひらりとした動作で絹姫の背に乗った。

「行くぞ、秋幸」

柴は舞風の腹を強く蹴った。すると、一動作で舞風は駆け出した。歩くときとは揺れが違う。

「遠慮なく、しっかりと掴まっていろ。少々、急ぐぞ。秋幸、絹姫の力を信じて着いてこい」

言って、柴はもう一度舞風の腹を蹴った。すると、舞風はさらに速く駆けはじめた。振り落とされそうな悠真は、ただ、ただ、柴にしがみついた。

 二頭の馬は駆け抜けた。道を駆け抜け、都の横の深い森へと入っていく。森は深く、道はない。道なき道を、二頭の馬は駆け抜けた。小川の横、悠真は見覚えがあった。道に迷うため、人の近寄らぬ場所だ。薬師が隠れていた森、赤影が隠れていた森、それが、都の隣のこの森だ。都の横なのに、一向に開発が進まない深い森。大きな力で守られているような森だ。その一角で、柴は舞風を止めた。

 雨は降っていないのに、そこは異様にぬかるんでいた。森の草が水を吸い込めず、水溜りとなっていた。水の正体はすぐに分かった。水の流れる先に目を向けると、水の渦があり、渦の中心にイザベラがもがいていた。水の牢獄に閉じ込められたイザベラは、脱出しようともがき、それも適わずただ暴れていた。間違いなく、イザベラを閉じ込めているのは青の石の力だ。術士が、イザベラを捕えるほどの力を持つ術士がいるのだ。たとえ、弱っているとはいえ、イザベラは黒の色神の使う力。その力を押さえるほどの力を持つ術士がいるのだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ