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一色  作者: 相原ミヤ
火の国の夏に降る雪
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緋色を守るからくり師(22)

「黒の色神か」

術士は低く言い、直後イザベラを叩き落とした。発動したのは、青の石。強大な水の力でイザベラを閉じ込めたのだ。

「これは、黒の色神の力だな。誰かが、代わりに使うはずのない力。黒の色神が赤の色神に肩入れしているという話は真実か」

すると、監視していた者が言葉を発した。

「――だが、黒の色神は弱っている。先の暴走の結果か。今なら、押さえつけるも造作ない。黒の色神に我らが存在は知られるであろうが、今の黒の色神に成す術はない。それは、赤の色神も同様。弱った体で、周囲を固める力の中核である陽緋を毟り取られ、頼みの赤影も義藤も弱っている。今なら、この火の国の地で依頼を果たすことが出来よう。黒の色神、己の力の危機を感じ、この状況を覗いているのだろう。安心しろ。我らは、火の国の赤の術士の命を奪うつもりはない。邪魔をされぬよう、ただ、陽緋を奪ったのみ。黙って見ていろ。さすれば、火の国に何の害もない」

イザベラは水の渦の中でもがいていた。不死の異形であるから、消滅することはない。だが、もがくイザベラの姿が痛々しく見えた。

「あなたたち、何者なの?」

野江は震える声で問うた。視界は渦巻いている。それでも、意識を手放すわけにはいかない。野江の手首の痛みが一層強くなった。踏みつけられている足に力がこもった。

「流石陽緋殿。この状況で、我らに反するとは無意味なことだ。安心しろ。我らが狙うは、赤の色神でも火の国でも非ず。ただ、火の国に足を運んだ愚かな娘だ」

野江の脳裏に白の色神の姿が浮かんだ。


――白の色神


彼らは白の色神の命を狙っているのだ。

「冬彦」

野江は白の色神と共にいるだろう冬彦を思った。

「大人しくしていろ、陽緋」

手首を踏みつける男の声が響いたかと思うと、野江は意識を手放してしまった。


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