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一色  作者: 相原ミヤ
火の国の夏に降る雪
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緋色を守るからくり師(21)

 野江は朦朧とする意識の中で紅の石に手を伸ばした。紅の石を使えば、紅に伝わる。紅に救援を求めることが出来る。理解していたはずなのだ。常に、警戒しなくてはならないことを。陽緋である以上、いつ、なんどき、誰から命を狙われてもおかしくないのだ。陽緋である野江の、油断が招いた事態だ。それよりも先に、今の状況を打開しなくてはならない。

 紅の石を使う。息をするように簡単なことが、今はとても難しい。触れた紅の石を発動する前に、野江は腹部に強い衝撃を感じた。蹴り飛ばされたのだと理解したのは、衝撃から少し遅れてのことだ。渦巻く視界で相手の顔は見えない。仰向けに蹴り飛ばされ、手首を踏みつけられて野江は身動きが取れなくなった。首から下げた紅の石や紫の石を奪い取られるまま、抵抗することが出来なかった。抵抗する鶴巳も成す術がようだった。三人の人間に取り押さえられている。監視しているのが一人。全部で五人の敵だ。


「イザベラ」


野江は最後の頼みを黒の色神に託した。黒の色神が野江に預けた、異形の者。その力に頼るしかできない。これが、醜き歴代最強の陽緋野江の姿だ。


――ギュルルル


イザベラは吠え、野江の腕を踏みつける術士に飛び掛かった。犬のような大きさであっても、持つ牙は俊敏性は本物で、並みの術士では反応できないはずだ。


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