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一色  作者: 相原ミヤ
火の国の夏に降る雪
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緋色を守るからくり師(20)

 野江の思考は支離滅裂で、考えがまとまっていない。佐久を思えば、己の未来が不安になる。もしかしたら、都南のように野江も不安定なのかもしれない。落ち着いているようで、野江は落ち着いていない。野江は集中力に欠け、いつもの野江でない。


「野江!」


集中力を欠いた野江は、鶴巳の叫び声を聞いた。直後、野江の世界は激しい衝撃に襲われ、天と地が入れ変わった。大地の匂いと衝撃で、野江は自らが落馬したのだと理解した。浮雲の悲鳴のような鳴き声が聞こえた。強打した右肩口に強い痛みがあり、左側頭部を打ち付けたことにより、野江の視界は揺らいだ。土の匂いが近く、下生えの草が頬を差した。渦巻く野江の視界は暗くなり始めた。馬の蹄が野江の前に止まった。色からして、朝霧の足だ。鶴巳が朝霧から飛び降りたようで、鶴巳の足も見えた。同時に、数人の足も見えた。野江を襲ったのは、術士に違いない。突如、死角から現れた衝撃。物理的な攻撃ではない。術士だ。数人の術士が現れて、取り囲んでいる。火の国の術士でない。火の国の術士ならば、野江の管轄下にある。しかし、野江は知らない術士だ。


――術士は危険な存在。


術士は強い力を持っている。油断していたとはいえ、野江を一瞬で倒す相手だ。この火の国に災いをもたらし、野江の大切な仲間を傷つける。春市、千夏、秋幸、冬彦の四人の隠れ術士の力に苦戦したのは先日のこと。また、隠れ術士の力に苦戦させられるのか。野江は動く足を見ていた。今、佐久が不在だ。佐久を欠いた都南はいつもの都南でない。続く戦いで義藤と赤影が弱っている。ここで、敗れるわけにはいかない。


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