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一色  作者: 相原ミヤ
火の国の夏に降る雪
424/785

緋色を守るからくり師(19)

(頑固な君は、僕を憎むのかな?頑固な君は、厩にしがみつくのかな?でも、からなず未来は開けるよ)


佐久は朝霧の額に額を近づけ、朝霧の頬を両手で包んで語りかけていた。温かく、優しい佐久らしい言葉だ。佐久らしい、言葉だ。佐久の眼鏡の奥の優しい目を、野江は忘れたりしない。

 一体、佐久の身に何が起こったのか。紅城へ足を運んだ時分、都南は猛獣のような激しい子だった。その都南をなだめることが出来たのが、佐久ただ一人であった。

 そして冬彦。冬彦は優れた才のある子だ。白の色神は、冬彦をどうするつもりなのか。優れた術士は、火の国にとって宝だ。豊かな資源のない、この火の国にとって紅の石と優れた術士は宝だ。冬彦の色を引き出す力は野江に並ぶ。相性の良い色が白でなく、赤であれば、術士としての中枢を担っていく人材である。冬彦を他の色神へ渡したりしない。陽緋野江として、若き術士に未来を繋がなくてはならない。柴に術士としての心得を教わったとき、柴は野江に言ったのだ。


(野江に今後を任せる。年上の者は、若い者の上にのさばるだけでならない。その身の引き時も大切で、強く若い者が姿を見せたときは、後ろ引かなくてはならない。)


野江の引き時はいつなのか。義藤が野江を超えた時か、冬彦が野江を超えたときか、もしくは秋幸が野江を超えたときか。悠真は特殊だから、術士として生きるような性質ではないだろう。春市と千夏は優れた術士であるも、野江を超えるには天賦の才に欠ける。都南と佐久が二年前の戦いで力を失った今、野江を超えることが出来るのは、義藤か、冬彦か、秋幸だ。いつでもその、覚悟はできている。しかし、未だ譲ったりはしない。野江は術士でなくては、生きていけないのだから。


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