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一色  作者: 相原ミヤ
火の国の夏に降る雪
423/785

緋色を守るからくり師(18)

 野江は弱い存在だ。心が弱く、とても卑屈だ。けれども、野江は必要とされているのだろう。それが、嬉しいのだ。


 赤影の隠れ家まで、馬を走らせれば一時の距離であった。深い森の中のため、これまで誰も見つけ出すことが出来なかった赤影の隠れ家であるため、野江は場所が分からない。しかし、イザベラは迷うことなく駆け抜け、野江はイザベラを追うだけで良いのだ。イザベラは、黒の色神クロウにとって、片腕のような存在。そのイザベラを身から離し、野江らに預ける黒の色神の心を図ると、野江は温かい気持ちになった。クロウは真に火の国のために尽力してくれている。彼らを恐れ、警戒したのは数日前のこと。長年鎖国を続けた火の国にとって、他色の色神が現れるということは未知の体験なのだ。だが、クロウは恐れる人ではなかった。もちろん、クロウと直接対峙し、クロウと戦い、クロウに追い込まれた赤丸らは野江と違う反応を示すに違いないが。

 浮雲の蹄の音と一緒に、朝霧の蹄の音も聞こえる。軽やかに駆ける浮雲と異なり、未だに鶴巳に服従しようとしない朝霧の蹄の音は大きい。野江は振り返って、鶴巳と朝霧の様子を確認した。彼らは、戦い続けている。


(僕はね、もう君と一緒に駆け抜けることが出来ないんだよ)


佐久の言葉が野江の脳裏に響いた。二年前、佐久は力を失った。朱護頭として、刀を握っていた佐久は、二度と刀の握れぬ体となった。しばらく後、佐久が朝霧に語りかけていた時、野江は偶然近くにいたのだ。



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