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一色  作者: 相原ミヤ
火の国の夏に降る雪
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緋色を守るからくり師(1)

 野江は赤い羽織を正して、厩にいた。野江の愛馬に鞍を乗せる準備をしている。夏が近づく暑さであっても、馬の毛並はよく、目は凛と輝いている。長い睫毛が上向きに巻き、愛らしい目を野江に向けている。

 紅の間での集会の後、野江はその足で厩に来ていた。出立は早い方がいい。赤い羽織を着ていくか、置いていくか、野江は躊躇ったが着ていくことにした。赤い羽織は必然的に目立つ。目立つから、権威を振りかざし無理が通るが、目立つから悪しき者は逃げていく。

「野江」

響いた声に野江は振り返った。その声は、鶴巳の声であった。

「鶴巳、どうしたの?」

鶴巳はぼさぼさ頭をぐしゃぐしゃにしながら、そこに立っていた。野江が出立するのを感づいて、追いかけてきたのだろう。野江は、戦いを義務付けられる術士だ。その術士で頂点に立つのだから、誰よりも危険は付きまとう。その度に鶴巳は野江の身を案じているのだ。そんなこと、鶴巳の言動を見ていれば明らかなことだ。野江が悠真の村に向かうときもそうだった。鶴巳は悲しそうな表情をしているのだ。その後、必ずからくりが増えている。鶴巳はからくりを使って、野江を守ってくれているのだ。

 戦いを義務付けられる野江と違い、鶴巳は後方支援の立場だ。戦いをするのでなく、戦う術士を補佐するための立場であり、道具を使って紅を守るのだ。現に鶴巳のからくりは、何度も野江を窮地から救い、紅を守り続けていた。その鶴巳の最高傑作が空挺丸だ。空挺丸は、使いこなすは難しいが、野江なら可能なこと。空挺丸の存在が、野江の行動範囲を格段に広げたのだ。火の国の端々まで陽緋が出向くことで、紅の権威を火の国の端々まで伝え、国の末端の腐敗を防ぐことが出来る。遠方に派遣した術士の動向を調べることが出来る。もちろん、柴が大きな役割を担っていたのは事実だが、野江自身が動くことで、端々を見る目が二倍になるのだ。柴が伝えた腐敗を、野江がすぐに調査することが出来るのだから。


なかなか更新できませんでしたが、今日から再開です。次は野江「緋色」の話です。

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