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一色  作者: 相原ミヤ
火の国の夏に降る雪
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始まりは赤い風から(18)

 そこは、赤い部屋だった。


「赤い」

悠真は思わず息を呑み、口にした。赤いのは部屋ではない。その空間が赤いのだ。部屋にはいくつもの棚が置かれてある。その棚の中には、紅の石が仕分けされて置かれていた。石の輝きが違うのは、紅の石の質が違うからだろう。仕分けをしているのは、おそらく柴だ。色を見ることに長けているから。

「何となく、あっちの方が質がいいのか?」

秋幸が左を指差した。悠真の目にも、そう見えた。

「へえ、秋幸。分かるのか?」

柴が大きく笑った。

「なんとなく、目で見えるわけじゃない。肌で分かるんだ」

秋幸が答えると、柴が左の棚の一つの籠を取り出した。

「そんなもんだ。野江や佐久、術が使えたころの佐久もそれぐらいしか分からなかった。紅の石は、俺が仕分けしている。左から、一級、二級と十級まで分けられている。そして、お前たちが目を付けたのが、特級とつけた石だ。この石は普通の術士には渡されない。野江、佐久、義藤、赤丸が持っている。残念ながら、秋幸。お前の石は一級だ。次渡すときは、特級かもしれないがな」

今から何をするつもりなのか、悠真は赤い羽織の義藤を見ていた。

「今から、仕分けをする。紅の奴も仕分けはできるが、あいつはめんどくさがりで、石を生み出してはこの部屋に投げ込む。こうやって、帰ってきては片付けるのさ。紅は毎日一つ、石を生み出す。長く旅に出れば、出るほど、片づけが大変なのさ」

言うと、柴は一つの籠を取り出した。その前に座ると、羽織の袖をまくった。

「手伝えよ。これは七だ」

言うと、柴は一つの紅の石を悠真に投げた。悠真は「七」と書かれた籠の中に紅の石を入れた。

「ほら、三。九。五」

柴は次々と紅の石を投げ、悠真たちはそれを籠の中へと入れていった。そうやって、柴に良いように使われて、悠真たちは紅の石を片付け終えた。


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