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一色  作者: 相原ミヤ
火の国の夏に降る雪
383/785

始まりは赤い風から(17)

 義藤が朱護を連れて戻ると、二人の朱護は柴と義藤に深く頭を下げて扉の前に座った。義藤は二人の官吏を柴から受け取ると、一度頭を下げだ。立ち去ろうとする義藤を柴が呼び止め、声をかけた。

「義藤、無理をしすぎるな」

広がりのある声は、大きく響き、赤く包み込む。

「ありがとうございます」

義藤は少し青白い顔で微笑んだ。悠真に色の力は見抜けず、義藤の強いが優しい色は何も変わらない。それでも、義藤が不調であることは間違いないだろう。顔色だけでない。赤丸の色を受け入れたのだから。

「お前たちは俺と一緒だ」

柴は悠真と秋幸に言った。他の人たちよりも大きいだろう赤い羽織がばさりと音を立てた。柴の目は一色を捕えている。悠真が色を見ているように、柴も色を見ている。それも、悠真よりもはっきりと、悠真よりも鮮明に、色を見て、悠真よりも色を理解している。柴の前では、自らを偽るような嘘は無意味だ。柴は何かを考えている。何かを考えて、意図があるから悠真と秋幸を連れて行く。


――庵原太作


悠真は紅の間で上がった名を思い出した。柴は庵原太作について調べていく。紅と官府の間にある深い溝を埋めるには、紅を追いつめてきた者たちを取り締まっていかなくてはならない。

 長年紅城に足を踏み入れている柴は、迷いのない足取りで広い紅城の中を歩み、一室へと悠真たちを導いた。鍵のかかった部屋は、柴のもつ重厚な鍵と紅の石で開かれた。

「鍵はただの飾りだ。本来は、俺の持つ紅の石か、紅の持つ紅の石でしか開かない。鶴蔵が作り出した、からくり金庫の丈夫さは筋金入りだ。この部屋の存在は、皆知っている。入れないようにしていることも、皆の同意だ」

開かれた部屋を見て、悠真は息を呑んだ。


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