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一色  作者: 相原ミヤ
火の国の夏に降る雪
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始まりは赤い風から(15)

 紅の間での険悪な雰囲気は、柴の言葉で抑えられた。やはり、先の陽緋と朱将であり、紅城を支えてきた柴の威圧感は本物だ。柴は悠真たちに言った通り、自らが動くことを宣言し、紅がそれを認めた。疲労の色が消えない義藤が動くことも、佐久がいないことで情緒不安定な都南が動くことも望ましいことでない。そして、最後に柴は信じられないことを付け加えた。

「悠真と秋幸を預けていただけませんか?」

柴が発した言葉は、辺りを静まり返らせた。それは、悠真を凍りつかせるにも十分だった。秋幸に至っては、色が乱れるのが分かるほどだ。

「悠真と秋幸を?その真意はどこにある?」

紅が尋ねた。悠真もそれが知りたかった。なぜ、柴は悠真と秋幸を連れて行こうとするのか。その理由が理解できない。

「紅様の手に余るものを全て、見てみたいのです。この、柴に任せていただけませんか?」

答えた柴を紅がさらに問い詰めた。

「なぜ、秋幸も連れて行く?」

紅の問いに柴は姿勢を正して答えた。

「秋幸は、初めて加工された石を持ちました。忘れておりませんか?これまで、彼は加工された石を持っていなかった。加工された石を持たずして、野江の侵入を阻んだのは、春市や千夏、冬彦が一緒だったからといって成し遂げられるものではない。私は顔を合わせたことがありませんが、白と相性の良い冬彦と違い、秋幸は赤との相性も良い。赤だけじゃない。佐久と同様にさまざまな色との相性が良い。とりわけ、赤との相性の良さは群を抜いている。私が申し上げたいこと、紅様は既に理解なさっているのでしょう?」

紅は一つ息を吐いた。

「好きにするが良い」

悠真の背に汗が流れたのは言うまでもない。


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