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一色  作者: 相原ミヤ
火の国の夏に降る雪
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始まりは赤い風から(1)

 悠真は疲労困憊だった。悠真の中の無色はすっかり気配を弱めてしまっていた。その理由は明らかだ。悠真は、すこし無茶をしすぎた。体の中が赤だとか黒だとかで満ちて、悠真の中の無色は影を薄めてしまっていた。この色が消えなくなったら、悠真は無色でなくなるのかもしれない。無色が消えてしまう、その不安を覚えるのは、悠真が無色を一色に持ち、悠真が無色であるからかもしれない。

 紅が暴走し、赤丸が厄色を使って暴走を静めた。命を失いかけた赤丸を救ったのは、義藤だった。

 あの時、悠真はぼんやりと義藤を見ていた。義藤と赤丸の見た目があまりに似ていて、不思議な気分がしたのだ。彼らは互いをどのような気持ちで見ているのだろうか、なんて余計なことを考えていたのだ。動けない赤丸を連れ去ったのは、赤山だった。

(一人で赤山と赤星を連れて帰れるか?)

野江は天井から降りてきた赤山を案じていたが、彼は残された片目を細めて笑った。

(侮るな。表の世界に手を貸してもらえば、赤影が廃るというものだ。だが、しばらく赤丸は休ませてやってもらえるか?こいつも義藤と同じ、少し無理をしすぎる奴だからな)

赤山は慈しみの深い目で赤丸を見つめていた。どうやって連れていくのかと思っていると、赤山は縄のようなからくりを取り出した。それに紅の石を取り付けると、赤丸の両脇に掛け、赤丸を背負った。老いた赤山が赤丸を背負えるはずがない。そう思っていると、赤山は紅の石を使い、赤丸を背負いあげてしまった。からくりには、様々な使い方があるものだ。


 紅は赤山が姿を消したのち、野江らを呼んだ。

(さあ、帰ろう)

言った紅の疲労困憊のようで、立ち上がるのも精一杯のようであった。都南、野江、秋幸ら皆の手を借りて、ようやく悠真は帰路につくことができたのだ。紅城へ戻れる。それがなんとも、嬉しいことのように思えたのだ。


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