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一色  作者: 相原ミヤ
火の国の夏に降る雪
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雨の中の白(7)

 ソルトは、よく見えない目で白を持つ少年を見た。誰も、ソルトに逆らうことが出来ないのだ。

「ねえ、今、火の国に白の石はあるの?」

ソルトは白を持つ少年に言った。

「白の石は命を救う石。あなたは、白の石を使うことが出来る術士。でも、石がなければ意味がないでしょ。あなたの大切な赤の色神が傷ついても、誰も救うことが出来ない。黒の色神が火の国で暴れている以上、万一のことを考えて火の国には白の石が必要でしょ」

ソルトの言葉に白を持つ少年は息を呑んでいた。

「あんた、一体何なんだ?なぜ、さっきも白の石を……」

白を持つ少年の言葉に、ソルトは笑って返した。

「私は白の石を持っているわ。火の国が喉から手が出るほど欲しい白の石を持っているわ。だから、あなたは私に逆らえないの」

「あんた、何者だ?」

白を持つ少年は、ここまで話して気づいていない。いや、気づいているのかもしれない。赤の色神は、赤の術士に話しているかもしれないのだ。この火の国に白の色神が足を運んでいることを。

「私はソルト――白の色神と言えば、分かるかしら?一緒に来てくれるわよね」

白を持つ少年は何も言わなかった。


 アグノに抱き上げられ、ソルトと白を持つ少年は町を後にした。赤と黒の衝突は、黒の方が勝った。強大な黒が赤を飲み込むのを感じたのだから、間違いない。ソルトは曇り空を見上げて色を追った。黒の色神は本気だ。本気で、火の国で暴れている。

 色にとって、無色は喉から手が出るほど欲する存在だ。無色を手にすれば、色の覇権を手にすることが出来る。もちろん、ソルトを器として白の色神に据えた、白だって、無色を欲している。ソルトが動くつもりがないから、何も言わないだけだ。


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