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一色  作者: 相原ミヤ
火の国と来訪者
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黒の助言(5)

紅は片膝を立てて座ったまま、不敵に笑った。

「佐久のことを知りたいと願ったからさ。佐久の考えていることは、私たちと違う。どんなに、抜けた風を演じても、佐久が持つ色は佐久を表している。佐久の波乱に満ちた半生を現している。それに、赤山から聞いたのさ。佐久は戸籍を持たなかった。一緒に紅城へ来た都南は戸籍を持っていたのにな。佐久の戸籍を秘密裏に用意したのは、先代の赤丸だ。先代の紅も、私も佐久は何かを抱えていると知っていた。けれども、佐久が何かをしようとする様子もなく、佐久自身に悪い目もない。きっと、流の国に通じていたのだろう。通じていたというのは間違っているかもしれない。流の国に関係した者だったということ。佐久が無理に連れ攫われたのでないのなら、私は安心だ。佐久ならば、無下に火の国を売ったりしない」

クロウは紅のことを計り知れない存在だと思った。計り知れないのは、紅が考えていることだ。同じ色神であっても、紅とクロウは違う。ただ、仲間に恵まれているから優れているのではない。彼女自身が優れた色神であるのだ。

 勝てない、とクロウは思った。己よりも若い色神に、クロウは完敗したのだ。

「そこまで考えていて、なぜ、俺に助言を求めに来た?」

クロウが問うと、紅は首を横に振った。

「不安だったのさ。佐久が連れ攫われたという不安があったからな。私は、尋ねにきた。どのように動けば良いか、私は背を押してもらいに足を運んだのだろうな」

紅の自身に満ちた表情は、何よりも強く美しく思えた。だから、クロウには分かったのだ。紅の長所も短所も見えたのだ。

「紅、宵の国の軍師として助言しよう。今回の冬彦の探索に、紅は行くな」

紅の強さをクロウは知っている。クロウと紅は同じ色神であるのだから。

「はあ?」

困惑する紅に、クロウは続けた。

「まだ、万全でないのだろ」

クロウは己の胸に手を当てた。暴走という未知の経験は、クロウの身体に大きな負荷をかけた。クロウは疲弊し、未だに身体の重さが抜けきらない

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