黒の助言(2)
「紅城は良いところだろ」
ふと、声が響きクロウは振り返った。いつの間にか、そこには紅が立っていた。紅城の中では、紅は突如姿を見せる。抜け道でもあるのかもしれない。
「赤の色神」
クロウが呟くと、紅は笑った。
「紅だ。黒の色神は……」
クロウは答えた。
「クロウだ」
自然と畳にクロウとスペルを書いていた。赤の色神「紅」に偽ることは出来ない。すると、紅は笑い、畳の上に座った。
「火の国の術士は面白い人が多いな」
クロウが言うと紅はけらけらと笑った。
「皆、私の大切な仲間だ。彼らがいるから、私は紅として戦っていける」
紅は言った直後、身を乗り出した。
「宵の国はどんな国なんだ?」
それは、戦乱の宵の国を蔑むような言葉ではない。紅という彼女自身が、国の安寧を願っている証拠だ。
「戦乱の国だ」
クロウはそれ以上答えることができなかった。現に宵の国は戦乱の国。多くの命が日々失われている。他者を蹴落とし、争う。火の国と宵の国は違う。
「クロウを見ていると、宵の国がそのような国には思えないな」
ふと、紅が言った。クロウは黒の色神となる前から、軍師としての立場があった。このように、年下の女性から上から目線で話されることに慣れておらず、くすぐったい感じがした。それでも腹が立たないのは、紅という彼女自身の人柄によるものかもしれない。
「ようやく平定したところだ。けれども、未だに反乱の火は燻り続けている。俺には仲間が少ないから、足元を救われると命を奪われる」
そう、火の国と宵の国は違う。