表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一色  作者: 相原ミヤ
火の国と来訪者
336/785

黒の助言(1)

 クロウは紅城の中に座っていた。ここは、客間なのか、閑散とした部屋であった。ただ、赤が満ちていることは分かる。紅城に満ちる赤が、火の国の未来が安泰であることを示しているようであった。

 クロウは火の国の内部を掻き回した。紅はクロウのことを責めていないし、赤の術士もクロウを責めていない。結果として、赤の術士に死者がでなかったことが救いかもしれない。

 ドカドカという大きな足音は、柴のもの。大きさを持つ柴は行動全てが大きい。一度は、クロウも柴の死を覚悟した。しかし、白の色神の気まぐれで救われたのだ。加工という火の国独自の技術に長けた存在。

「ちょっと、柴。待ちなさいよ」

甲高く響くのは野江の声。火の国一の術士だ。口が悪いのが難点だが、彼女の力は本物だ。

「野江、そう怒るな。あの時、ちゃんと遺言は残しただろ」

困惑した柴の声も聞こえる。野江は、柴が死にそうであるのに、彼を残していたことに己を責めているのだ。火の国の術士は感情豊かだ。

「すんません、すんません」

聞きなれない声は、からくり師鶴蔵のものだとクロウは覚えていた。からくりというのも、火の国独自の技術だ。どうやら、柴に食って掛かる野江を必死に止めているようであった。


 しばらくすると、甲高く響く声が聞こえた。鞠のような声は、可那のものだ。

「だから、その態度改めなさいよ!」

「だから、俺に付きまとうな。忙しいんだ!」

反論するのは都南の声。どうやら、可那と都南は折り合いが悪いらしい。想像するに容易い。忙しく動き回る可那と、獣のような都南。折り合いが良いはずがない。どちらも、我が強すぎる。時に都南は人の意見をじっと聞き入れるようで、己の中の芯を曲げたしない。それを曲げさせるには、よほどの説得力が必要なはずだ。


 紅城は賑やかだ。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ