無色を守る赤(4)
――俺は生きてちゃいけない。
悠真はそう思った。もしかすると、赤丸も同じような気持ちだったのかもしれない。赤丸の色が色神を不幸にする厄色ならば、悠真も同じだ。悠真の持つ無色も色たちを色めき立たせ、争いを生み出す。悠真も厄色だ。
深い孤独と不安の海、色が巡り、悠真には出口が分からない。強い閉塞感を覚えた。息が出来ない。このまま消えてしまいた。暗い海。未来はない。その海に差し込むのは、いつも鮮烈な赤い光だ。
「安心しろ、悠真。己の未来の決定権は、常に己の手の中にある。色神になるのは、いつも突然のこと。私だって戸惑ったさ。けれども、義藤と忠藤が一緒にいてくれた。表では義藤、裏では赤丸となった忠藤がいた。だから私は平気だった。野江らにも出会ったしな。悠真の近くにも、彼らがいる。安心しろ。赤は無理に悠真を染めたりしない。赤がそのような行動に出るのなら、私が止めてやる。他の色が、他の国が悠真を狙うのなら、火の国の術士が一丸となって戦おう。私は友や仲間に手を出す奴は許さない。守ると決めた人は、何があっても守る。分かるだろ、悠真。お前は、私の友であり、仲間なのだよ。無色の色神に仲間だというのは、恐れ多いがな」
紅の言葉がいつも悠真を支える。その鮮烈な赤が、その強い赤が、悠真を支え強くする。すると黒の色神も付け足した。
「ならば、黒も無色と共にいよう。無色に手を出すものがいれば、黒の色神が力を貸そう」
黒の色神の澄んだ黒が近くにあった。
「さあ、野江たちを呼んで帰ろう。源三と可奈を紅城へ案内しなくちゃな。野江たちも心配しているはずだ」
紅は紫の石が連なった数珠に呼びかけた。