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一色  作者: 相原ミヤ
火の国と来訪者
322/785

赤が救う命(9)

 赤と黒、そして白は何も言わない。黒は黒の色神に抱きついたままだ。その仕草は子猫のようであった。

「どうすれば良い?」

義藤が尋ねると、白が口を開いた。

――身体に触れて、色を感じてください。術士ならば、分かるでしょう

白が言い、声の聞こえない義藤のために紅が通訳した。

「義藤は赤丸の身体に触れて、色を感じるんだ。お前なら分かる。大丈夫だ、細かな調整は私がする」

言うと紅は紅の石を取り出した。紅の石は輝きを持ち、そして義藤は赤丸の身体に触れた。


 赤の色が揺らぎ、義藤は地に倒れた。


 赤が流れている。赤丸から義藤へと、赤が流れている。流れる赤の速さを紅が調整している。何かが起こっているのは確かで、悠真は這って彼らに近づいた。

「大丈夫なの?」

尋ねたのは、悠真が不安だからだ。義藤が命を落とすことも、赤丸が命を落とすことも耐えられない。

「私は赤を信じている。だから、大丈夫だ」

義藤の額にも汗が浮かんでいる。倒れた義藤の身体に赤が巡っている。近しい色をしているとはいえ、色は違う。これで大丈夫といえるのだろうか。少しでも負担を軽くする方法を、悠真は知っている。

――止めなさい、悠真。

無色の声が悠真の脳裏に響いた。それでも悠真は止めることが出来なかった。そして、悠真は義藤と赤丸の身体に触れた。


 そこは、赤い世界だった。


「悠真、もう終わりだ」

紅の声に悠真が赤い世界から引き戻されると、そこには眠る赤丸と義藤の姿があった。


 悠真の身体を襲ったのは、強い疲労感だった。

「ありがとう、悠真」

一つ、紅が言った。

「いや、俺は……」

悠真は何と答えて良いのか分からなかった。

「俺からも礼を言う。ありがとう」

黒の色神が言った。既にそこには色たちはいなかった。

「赤たちは?」

尋ねると、紅が答えた。

「消えたよ。そもそも、赤たちは色だから、あまり私たちの世界に干渉しない。あれほどの色を目の前にしたのは、私も初めてさ」

紅は笑い、続けた。

「野江たちを呼ぶ前に、少し話をしないか?」

それに黒の色神も頷いた。紅は片膝を立てて、いつもの姿勢で座った。

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