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一色  作者: 相原ミヤ
火の国と来訪者
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赤が救う命(7)

赤丸の呼吸の音だけが響いていた。

――白の色神は、火の国に関心を抱いている。だから、白の石を提供してくれるでしょう。それでも、その時間はない。ところで、決められないのなら僭越ながら私が助言を差し上げましょう。白の石で救うのは、厄色の子ではない。

紅が半分腰を浮かせた。息を呑んだのは黒の色神も同様だ。

――雪の国は医療に優れた国です。そこまでの道のりには、幾多の犠牲の上にあります。毒については、分析する時間がありませんし、火の国には機器がありませんので対処できません。しかし、厄色の子は救うことが出来ます。

白は足を進めると、そっと赤丸に近づいた。そして戸惑う紅の横に膝を着くと、そっと赤丸の頬に手を触れた。

――厄色の子。顔からして、お二人は双子ですね。それも、一卵性の双子。双子でもこれほどまでに似ている者はあまりいません。そうですね、こちらの方に私の姿は見えないでしょうから、赤の色神と黒の色神が判断してくださって結構です。雪の国では、様々な医療実験を行っていました。それは、外科的なものに始まり、色の乱れによる病までにいたります。今、厄色の子のこの状況は色の乱れによる身体への影響です。ならば、受け皿を作って流せば良い。そういう発想です。本来は、機器を使い、受け皿となる人間の色を強制的に変えて受け流します。色を変えるのですから、受け皿となった人間に未来はありません。酷いと思うでしょう。ですが、そのような命の売買を行うのが雪の国なのです。しかし、彼らは双子ですね。私が見る限り、色も限りなく近い。ならば、受け皿が命を落とすということは免れるでしょう。それなりの、身体への負担はあるでしょうが、大きな後遺症は残らないと思われます。それに、ここには赤の色神もいらっしゃる。赤の色神が二人の色の流れを調整し、さらに負担を軽減すれば良い。そして、無色もいる。本来ならば、受け皿は無色が適しているのでしょうが、今の無色にそれほどの力は無いでしょう。白の色神が石を持ってこちらへ向かったとしても、間に合いません。どうするかは、赤の色神に任せます。

白は言うと、ゆっくりと立ち上がり、距離をとった。義藤と赤山は何も知らない。彼らに色を見る力がないからだ。紅は一つ息を吐いた。

「義藤、力を貸してくれないか?」

紅が白の案を受け入れるつもりなのだと、言うことは明らかだ。

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