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一色  作者: 相原ミヤ
火の国と来訪者
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赤が救う命(6)

。白い髪。白銀の目。白い服。透けそうなほど白い肌。間違いない。見て分かる。彼は白だ。

 白は赤と黒を見ると、深々と頭を下げた。

――久しいのぉ、白。

赤が笑った。

――あんたの嫌味な感じは変わらないわね。

黒は黒の色神に抱きついたまま、威嚇するように言った。すると、白は顔を上げ、赤、黒、そして紅や黒の色神を見渡し、最後に悠真を見て笑い言った。

――我が、白の色神からの伝言を託されてきました。森の中の柴は救ったと。

その言葉に紅が反応した。

「柴は助かったか……」

紅が安堵したのは明らかだ。

――よもや、そちが色を他国の者に提供するとはの。それとも、後で、無理難題を押し付けるつもりか?

すると白は首を横に振った。赤や黒が白に対して警戒しているのは事実で、特に黒の反応は異常だった。そして赤が白に対し黒とは違う対応をしているのは事実だ。赤は黒を救おうとしていた。しかし、白に対して同じようにするとは思えなかった。すると、白は何ともいえない表情をして言った。

――いえ、これは、そるとの意志です。もし、何かしらの要求をするとしても、そるとの判断ですから、私には分かりかねます。ただ、一つ確かなことは、今のそるとは、これまで私が選んできた者とは違います。お二人が私に対して嫌悪感を抱いているのは、致し方ないことでしょう。それだけ、かつての私は貪欲で、合理的で、他者を蹴落としていました。その罪から逃れるつもりはありません。色の覇権をとるために、私がしてきたことは事実なのですから。

色たちの会話には、色しか割って入ることは出来ない。そんな雰囲気があった。黒は黒の色神に抱きついたままだ。それは、まるで白に対して敵意と同時に恐怖を感じているようであった。怯えているといった方が正しい。

――白、そちがこれまで、雪の国や色に大して行ってきた行為は紛れもない事実じゃ。されど、そちの雰囲気は変わったのぉ。以前のような冷淡さは無いものじゃ。一言、礼を言わせて貰うとするかの。わらわにとっても、紅にとっても、柴はかけがえのない存在だからの。そちの色神が何を思って柴を救ったのか、後でじっくりと聞かせてもらうからの。

まさかの白の乱入により柴の命が救われた。後は、赤丸と赤星だ。悠真は白についてあまり知らないが、一つについて一人のいかなる傷や病さえ癒す色。貴重で強い力を持っている色だ。二人に一人。表の世界で生きる柴の命が繋がったのなら、救うべき命はどちらなのか。

 誰も何も言わなかった。


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