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一色  作者: 相原ミヤ
火の国と来訪者
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暴走する赤(1)


 異形の者は暴走した紅に敵わず叫んだ。苦し紛れに吼えて、暴れた。悠真の身体から力が抜け始めた。もう、限界だった。


――悠真、あと少しよ。


無色の声が悠真の頬を撫でた直後、馬の蹄の音が響き、希望の声が響いた。

「紅!」

野江と都南が同時に紅を呼んだ。そして馬に騎乗したまま部屋に乗り込んできた。

 駆け込むと同時に、野江と都南は馬から飛び降りた。瞬時に術を発動したのは野江であり、野江は赤と黒の渦ごと呑み込むように紅の石の力を発動させた。


 悠真の視界はちかちかと点滅していた。もう、消えそうだった。身体の力が抜けていく。野江の赤がとても頼もしく見え、刀を振るった都南の力が異形の者の足を斬りおとした。同時に袖口から小さき異形の者が転がり落ち、悠真の方へと転がってきた。

「無色の小猿、命を繋いでくれて、礼を言う」

小さき異形の者が発した色は、黒の色神の一色と同じだった。

「黒……の色神」

戸惑う悠真を横目に、小さき異形の者の姿をした黒の色神の魂は、身体へと消えていった。


 今まで、物のようだった黒の色神の目がうっすらと開いた。そして、身体の動きを確かめるように指を動かしていた。動くことを確認すると、黒の色神は色を渡し続ける悠真の手を引き離した。

「もう、大丈夫だ」

黒の色神は言うと立ち上がろうともがいた。しかし、その身体に力が足りない。駆け寄ってきたのは都南だった。都南は躊躇いもなく黒の色神に肩を貸した。頑固な都南が、黒の色神を仲間として受け入れているようで、悠真は不思議な気持ちだった。


 安堵した悠真から身体の力は抜け、悠真は床に横たわった。どちらが上か下か分からない。それでも悠真は目を開いていた。床に横たわり、悠真は見ていた。


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