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異世界剣士の成長物語  作者: ナナシ
一章
39/206

力の意味

累計1000PVありがとうございます。

今後も読んでいただける様に頑張ります。。

風が、冷たい。


空気が張り詰め、遠く森の奥で聞こえる獣の咆哮が、やけに近く感じられる。

村の空は、夜の帳にすっかり覆われていた。


クロスは、一人防壁の影に腰を下ろし、剣を静かに膝の上に置いていた。


(……この世界に来てから、どれくらい経っただろう)


初めて魔物を見たときの恐怖と戸惑い。

ベルダ村でようやく安息を得たのも束の間、今こうして再び、死と隣り合わせの夜を迎えている。


けれど、クロスは――この世界に来る前から、ずっと戦っていた。


「……地球にいた時から、俺は剣を学んでいた。」


道場に通うようになってから10年になった。


“力とは何か”。


けれど、答えは得られなかった。

そして、ある日突然――彼はこの世界へと呼び寄せられた。


あの白い空間で、声だけが語りかけた。


“お前には力を与える。それが、お前がここに在る意味だ”と。


(……あれは、神だったのか)


神の名も姿も、何一つ分からない。

だが確かに、何か大いなる存在が自分をここへ導いたことだけは事実だった。


そして、その存在は――明らかにクロスに「力」を与えていた。


ただ、今になって思う。


この世界は、地球より遥かに“力”が直結する世界だ。

魔物は人を食らい、人は戦えなければ死ぬ。

そして、他者を守れる力がなければ――誰かの命は容易く消える。


「……力が無ければ、生きられない。それがこの世界の現実か」


だから、魔法を与えられたのかもしれない。

自分に与えられた魔力を現代の知識を応用して、強化した。


そして今、彼が扱える魔法は2つだけ。



《アイスタッチ》


‐ 詠唱:「冷たき精よ、我が手に宿り、触れるものを凍てつかせよ――《アイスタッチ》」

‐ 範囲:接触対象から最大2mまでの表面伝播

‐ 効果:急速凍結(約−40℃)、生物なら筋肉と神経系を瞬時に凍結させ、武器や装甲は2秒接触で凍結破砕が可能

‐ 使用回数:20回以上(低コスト魔法)


《フロストショット》


‐ 詠唱:「凍てつく雫よ、我が敵を撃て――《フロストショット》!」

‐ 射程:最大20mの直線射撃、貫通力あり(通常装甲程度なら貫通)

‐ 効果:命中点を中心に半径30cm以内を瞬時に凍結

‐ 使用回数:10回前後(強化版のため魔力消費は高め)



これらの魔法は、間違いなくこの世界の“常識”を逸脱している。

訓練中も、他の魔法使いたちの魔法の威力に違和感を覚えるほどだ。


だからこそ、使えば使うほど――自分が異質な存在だと、気づかれる可能性は高い。


疑われるだろう。

恐れられるかもしれない。

最悪、排除の対象になるかもしれない。

だからこれまで人前では決して使用せず、訓練を続けてきた。


けれど、それでもクロスは、心の中でこう答えた。


(それでも……俺は、この力を使う)


死ぬわけにはいかない。

生きたい。

守りたい。


ただ、それだけのために。


「力を振るうことに、迷いはない。どんな結果になっても、生きることを選ぶ。俺は――この世界で、生き残ってみせる」


そう呟いたとき、夜空を雲が流れ、星の一部が顔をのぞかせた。


不安はある。

恐怖も、消えはしない。


でもそれ以上に――今の自分には、“覚悟”がある。


クロスは剣の柄に手をかけ、ゆっくりと立ち上がった。

静かな夜が、嵐の前の静けさであることを、彼の心が告げていた。


明日、この村がどうなっているかは誰にも分からない。


けれど、彼は生き延びるために――そして、力の意味を知るために、戦う覚悟を決めた。

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