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ゴット オブ (ダイス)²  作者: たわと
36²分の1²の選ばれし者
1/1

LUCK DICE 〜日常の終わり〜

豊永隼人(とよながはやと) 16歳 高校1年生…

いつも通り学校に登校して授業を受け帰宅する。そんな当たり前が隼人にとっては大切なものであった。別に勉強が好きな訳では無いし、運動神経は自信があるがそれでどうっていうことでもない。隼人にとって今の日常が自分のなにかを埋めてくれるピースであった。その何かはまだわかっていないのだが―――



「隼人!英語の宿題見せてくんね?」


「またやってないのかよ!相変わらずだなぁ…ほら」


「まじ神!これ4時間目まで終わらせんと佐原先生怖いからな…」


「また現国の授業中にでもやるのか?」


「もちろんだよ!だって現国なんて15分以上面白くもない雑談で潰れるんだからな!」


「それはそうだな」


やっぱり学校は楽しい。こんなくだらない会話も楽しい。俺にとってなにもしないっていうのは退屈でしかない。自分は何かやらないと気がすまない性格なのかもしれない。かといって、一度頭痛と言ってズル休みしたことがあるけど、ゲームやってても、本読んでても退屈に感じてしまった。1日中何やってたんだろう…ってあとから本当に思う。ズル休みしたせいで、授業の内容に追いつくのに少し時間がかかってしまった。

今日帰っている時また考えてしまう…

なんで自分は日々の日常がこんなにも楽しいのか?

友達と話せるから? ―――違う。

勉強ができるから? ―――家でやればいい。

運動ができるから? ―――休日すればいい。

なんというか言葉に出来ないっていうか・・・やっぱり分からない。分かりそうで分からない。


そんな自分にとっていつも大切な1日が今日ももうすぐ終わり、そして明日もそんな1日が始まる…この繰り返しの日常がやっぱり好きだ―――そう思いつつ俺は暇でニュースでも見ようかなと思いテレビを付けた。

明日の天気予報は――― 晴れとわかっているので俺はテレビを変える。

全国で5千人以上の行方不明者が――― そういうのを見るのはなんか嫌なので変える。

保護者たちも動揺を隠せない模様――― さっきと同じ内容の話なので変える。

―――…面白そうなのがなかったから眠いし少し早いけど今日はもう寝るか。そう思い自分の部屋へ入り、ベットに寝転んだ。あぁ、明日もあいつは宿題見せてって言うんだろうな…とどうでもいいことを考え自分は眠りにつく―――


その明日はこないっていうことを知らずに―――



「―――ん…んぁ……」


俺はいつもどおりベットから体を起こし―――と思ったがいつもの布団の柔らかい感触がなかった。あれ?自分もしかして床で寝てた…と思い目を開けたら―――目に入るのはいつもと違う天井。何もない白い空間。自分の部屋ではない…知らない部屋…ってどういうことだよ!?一瞬で目が覚めてしまった。


「あ…やっと起きました!大丈夫ですか?」


誰だ?俺は体を起こすと、3人の知らない人がいた。


「あの大丈夫ですか?」


髪を下ろしている多分自分と年齢が近いであろう女子が言った。


「あ…大丈夫…ってここはどこなんだ?」


「私もわかりません…他のみんなもそんな感じで…」


自分以外にも自分と同じ状況に巻き込まれた人がいるのか―――と考えていると、


「まじここ何処なんだよぉ!出口はないのかぁ!」


多分自分と年齢が近い金髪の男が壁をゴンゴン叩いて慌てながらそう言っていた。


「僕もこの状況はよくわからないね…とりあえずみんな自己紹介とかしないかな?」


そう提案してきたのは、少し自分よりも背が高く多分自分と年齢が近い容姿が整っている男だった。この言葉でみんなが静まった。


「そうですよね…自己紹介とかはしたほうがいいかもしれませんね…誰からします?」


「俺からでいいか?」


そう言って俺は手を上げた。3人の視線が一斉に俺に向けられる。こういうの苦手なんだけど俺は勇気を持って自己紹介することにした。


「俺は豊永隼人、高校1年生だ。よろしく」


「あ、私と同じ高校生1年…あ、私は有元由梨奈(ありもとゆりな)です。よろしくお願いします。」


「俺は金塚賀碓(かねつかかうす)っス!俺も高校1年っス!よろしくっス!」


あれ…まさか全員高校1年生?


「じゃあ僕が一番年上か…僕は…藤原主馬(ふじはらあるま)です。高校2年生です。よろしく」


あ…普通に全員高校1年生じゃなかった…てか聞いたことあるような…まさか…


「あるま…さんですか…あの…もしかしてなんですけど…」


「あぁ、やっぱり気づいっちゃたか…そうだよ、あのアルマっていう名で活動してる人だよ…」


俺はその名を知っていた。いや知らないはずがなかった。


「やっぱりあのアルマさんですか!私大ファンなんです!握手してください!」


「あのアルマさんですか!マジなんでこんなところに有名人が!?」


アルマ…10歳の時にyoutubeで自分が作曲した曲を歌っている動画を出し、大ヒットした人物…その歌唱力はもちろん…その圧倒的センスで一躍有名となり、今も新しい動画を出すと大ヒットしている超有名人だ…

いやなんでそんな有名人がここに…?


「アルマさんのおかげで私歌うことに自信がついたんですよ!本当にこの感謝をずっと伝えたくて!」


「いや僕はそんなすごいもんじゃ…」


「何言ってるんですか!天才ですよ!天才!あの美声が私大好きで!それから…」


友梨奈っていう女子が興奮気味に言う。どんなけ好きなんだよ…って思うけど、アルマさんが天才と言われていくたびに少し表情が暗くなってきてるような…気のせいか?


「あぁ、ありがとう。一旦落ち着いて…気になることがあるからさ…」


そう言っていたので友梨奈は一旦食い下がるが、まだ話したい様子だ。


「あのもしかしたらさ、これってニュースに流れていた行方不明者のこととなにか関係あるんだと僕は思うんだよね…」


あぁ、そんなニュース昨日見たような…すぐにチャンネル変えたから内容あんまり知らないけど…


「あのニュースですか…?確か全国で高校生の行方不明者が出ているっていうやつですよね…」


全国の高校生が…なんで…


「あのなんでこの状況が関係あると思ったんですか?」


「あぁ…それは―――」


『えー、聞こえていますか?』


突然何処かからスピーカーから音が出ているような声がした。


「聞こえているわ!てかここ何処なんすか!出てこいっス!」


賀碓という男が荒々しくそう言う。


『これからゲームを始めます。落ち着いて聞いて下さい』


「なに言ってんすか!落ち着けないっス!こっちは目を覚ましたらここにいたんすよ?どうやって落ち着いたら―――」


「もしかして今からなにか始まるのか?」


アルマさんが賀碓の言葉を遮りそう言う。


『ゲームの内容はとても簡単です。サイコロを振るだけですから』


「どうやらこっちの話は聞いてくれなさそうだね…」


その言葉と同時に天井から小さな穴が開き、4つのサイコロが落ちてきた。何だ…何が始まるんだ…


『今から始めるゲーム、「LUCK DICE」のルール説明をするのでよく聞いてください。一回しか言わないから聞きそびれたとしても文句は受け付けません』


LUCK…DICE…? 運のサイコロって意味か…? 


『ルールは簡単。100秒以内にサイコロを振って一番出目の大きい人の勝利というゲームです。注意点は、1人目が2、2人目が5、3人目が4、4人目が5だったように他に同じ数字の人がいたら、この場合2人目と4人目が勝者じゃなくて3人目が勝者となります。もし全員が同じ目だったらもう一回振ってください。敗北した3人、または時間制限内にサイコロを振らなかった者、ズルをした者は―――』


その言葉が終わると目の前の壁に映像が流れた。その映像には自分たちと同じような空間で、壁に5秒という文字があり、3人の人がサイコロを振っていた。一人目はメガネを掛けていて賢そうな人、二人目はこの状況が理解できず混乱してサイコロを振っていないポニーテールの人、三人目はデブとまではいかないが太っている人、四人目は服が少しボロくて汚れている人だった。全員自分と同じぐらいの年齢だろう。そして

5秒が0秒になり、ピーッ!という音が鳴った。


『決まったみたいだねー。えーっと勝者は… 川村相馬くんだねー。おめでとー』


そういうと3人の目線が服が少しボロくて汚れている人に向けられる。あの人が川村相馬か…


『あぁ、あと言い忘れてたけど、残りの3人は…もう終了ねー。じゃ』


その瞬間、パァン!という音が3回聞こえてきた。

その音で自分はまばたきをしてしまった。そして次に目を開けた時には―――


3人が体の心臓部分に穴が空いている姿が目に映った…


「え…」


そんな何があったか理解ができず、え…としか言えなかった。ドサドサと倒れる音。心臓部分から溢れ出す血。川村相馬という人も何が起こったのか理解できてなさそうだった。しかし、その人が次に口を開けた時には、絶叫することしか出来ていなかった。


「おい…何だよこれ…何だよこれ!!」


自分が声も出せず呆然としていると、賀碓という男がそんな事を言う。


「…まさか…負けたら死ぬっていう感じのゲームが…これから始まるのか…」


アルマさんはこの状況を理解したのか…そんな事を言った。


「つまり…デスゲームってことですか…?」


有元という女子が震えながらそう言う。デ…デスゲーム?何言ってるんだ…そんなの現実にあるはずがないだろ…。そう思っていると、壁に100秒という文字が出てきて1秒毎に減っていて…ってまさか始まったのか!?


「おいどういうことだよ!?意味わかんねーっス!」


「私…死にたくない…死にたくない…死にたくない…」


みんながパニックになる。しかし無常にも時間はどんどん減っていく。


「みんな一旦落ち着いて…!まず冷静になろう…!みんな、このゲームはサイコロを振って出目の大きい人の勝利っていうゲームなだけだ。ずっと混乱してたらタイムオーバーになってしまうだけだよ…!」


アルマさんが冷静に言った。こんな状況でよく冷静になることができるな…


「…アルマさんはそんな事言うかもしれませんけど、負ければ死ぬんすよ!?どうやって冷静になればいいんすか!?」


「そんなこと言ってたら、時間が終わってみんな死ぬんだよ!」


アルマさんは少しだけ声を荒げて言う。もう時間が80秒を切っている。


「…じゃあ、全員でサイコロを振っていく感じでいいんじゃないですか?」


俺はそうアルマさんに言った。


「あぁ…隼人くんだっけ?それに僕も言おうと思っていたところだよ。まだ時間は70秒もあるし、同じ目が出たとしてももう一回みんなで振ればいい。サイコロを振らず時間制限で死ぬより、振って生きる可能性があるならそっちのほうがいいじゃないか。それでみんなもいいかな?」


しばし、みんな無言になり頷いた。そういうことに決まった俺等はサイコロを、手に持ちみんなで一斉に振ることにした。



みんなが手にサイコロを持って同じ場所に集まった。この時画面を見たら、残り60秒ぐらいだった。


「みんなじゃあ振るよ!せーの!」


アルマさんの掛け声と同時に俺達は一斉にサイコロを振った。地面について、サイコロはコロコロと転がりだんだん遅くなっていき止まった。自分の数字は…


『終了。勝者、豊永隼人。』


そんな声がスピーカ越しに聞こえてくる。自分は6が出た。他の3人は有元さんが3、賀碓という男が1、アルマさんは5であった。みんなの顔がだんだんと青ざめていく。


『では敗北した残りの3人は脱落です。』


「待ってくれ…僕はまだ…」


その言葉が言い終わる前に、パァン!という音が3回聞こえてきた。そして自分は後ろを振り返る…


3人が体の心臓部分に穴が空いている姿が目に映った…


「……」


さっきまで喋っていた人たちが目の前で死んだ。次に俺が口を開けた時には絶叫することしか出来なかった。


「うわああああああああああああぁぁぁぁぁ!!」


神様ーーー

俺の大切な"日常"を返してくださいーーー

〜LUCK DICE ルール説明〜


⒈サイコロを振って、一番多い目が出た人の勝利


(例)

6 3 1 5

○ ♡ □ ☆ >この場合◯の勝利


⒉10²秒以内に振らないと強制脱落


⒊自分の目が他の人の目と同じだった場合、どちらの目も0と扱う


(例1)

6 3 2 6

○ ♡ □ ☆ >この場合♡の勝利


(例2)

5 5 5 5

○ ♡ □ ☆ >この場合□の勝利


⒋全員同じ目ならばもう一度サイコロを振り直す


(例1)

4 4 4 4

○ ♡ □ ☆ >この場合もう一度振り直す


(例2)

2 3 3 2

○ ♡ □ ☆ > この場合ももう一度振り直す

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