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9/11

⑧ 社会保障費全般を削り「資産課税」をする「竹中平蔵流ベーシックインカム」

筆者:

 まずは前提知識として、日本においてベーシックインカムについて導入する意義があるかもしれない? ことについて、少しおさらいしておきます。


 今現在日本の生活保護捕捉率が20%~30%程度と言われています。

 これはいったん生活保護になってしまうと中々脱することができない税制も相まって、

 市役所側が“制限”している面もあるんですね。

 特に財産を保有していないことを証明することで審査が引っ掛かっているようです。


 また、『住所不定だと生活保護を申請できない』という誤った固定観念が広がっているために、申請者そのものが減っているといった側面もあります。


※現実には居住審査と生活保護申請は同時並行で行えます



質問者:

 以前のエッセイからそういったことは述べられていましたね。



筆者:

 こうしたことから生活保護を申請すること自体にハードルが上がっています。


 また、コロナでの行動規制で一時的ではありますが働けない状況になってしまった方も出てきました。


こうした社会的背景もあって、生活保護などの代替えとして国民全員に一律給付をするベーシックインカムが今注目されつつあるのです。



質問者:

 ベーシックインカムの日本における必要性については理解できました。

 

 でも、ベーシックインカムと聞くと真っ先に思うことは『働かなくなるんじゃないか?』

ってことだと思うんですけど、それについてはどうなんですか?



筆者:

 海外においては短期間ではありますが実証実験があります。


 カナダのオンタリオ州での2017年でのベーシックインカムの実証実験では、


 年収3万4000カナダドル(約290万円)以下の単身世帯:年間最大1万7000カナダドル(約150万円)


年収4万8000カナダドル(約410万円)以下のカップル:年間最大2万4000ドル(210万円)


 をそれぞれ1年間支給したところ年収が一定額を超えるとベーシックインカムが支給されない制度にもかかわらず、4分の3が仕事を継続したとされています。


 また、仕事を辞めた人の約半数は学校に通い始めており、次のキャリアにつながる行動をしていたそうです。



 次にフィンランドの2017年1月~18年12月に行われ、25~58歳の2千人の失業者に毎月560ユーロ(約6万6千円)を支給した実験では、


 何もお金を給付していない比較グループよりも、給付を受けたグループは


「ベーシックインカムで気持ちは軽くなり、自由になれる。自由になれると人はより生産的になれる。好きなことに集中できる」


 とした結果が出ています。



質問者:

 思ったよりも意外と前向きな結果なんですね。



筆者:

 ただ、これは「一定期間後にベーシックインカムは無くなる」と分かってやっていますからね。


 恒久的に支給した場合に”働かなくなる人材“と言うのがどれぐらい出てくるかもまだ分かっていません。


 また、企業と言うのは極力人件費を削ってこようとあらゆる手段を講じてきますので、

 『ベーシックインカム分タダ働き』と言うことをしてきかねません。



質問者:

 否定したいところですけど、ブラック企業であればあるほど起こりえそうですよね……。


 ところでどうして、表題には「竹中平蔵流」と言うのが頭についているのでしょうか?



筆者:

 未だに世界においてベーシックインカムと言う制度が定着している国が存在していないためですね。


 そうなると、どうしてもベースとなる案が無く、それぞれの提案している学者の思想が色濃く出てしまいがちなんです。


 ちなみに現在も維新の会の公式ホームページに存在している「2022維新八策」の逐条解説P181以降にある「セーフティーネット」では「ベーシックインカム」が語られています。


 将来的に維新の会が政権を取った際に中核をなす政策であることは間違いないと思います。



質問者:

 なるほど……。それで竹中さんが推している制度はどういった問題があるんですか?



筆者:

 簡単に言うのならば「体のいい高齢者虐め」と言えます。


 お題目としては1人あたり月6万~10万円を給付することで、『経済成長と格差是正の両立を目指す』としています。


 しかし、彼らは所詮“財源論”捕らわれているので当然削られる存在があるのです。


 それが社会福祉なのです。 

 竹中氏の2020年8月に刊行した著書『ポストコロナの「日本改造計画」』によりますと、「生活保護の生活扶助分、児童手当、基礎年金などを廃止すること」を財源としています。



質問者:

 一本化されるということならまだ大丈夫なのでは無いのですか?



筆者:

 ところがことはそんなに簡単な問題ではありません。


 厚生年金は給料から天引きされた年金保険料が報酬比例部分の年金額に反映され、厚労省のモデル年金の受給額は夫婦(妻は国民年金)で約22万円となります。


 しかし、年金が廃止されてベーシックインカムに置き換えられると、夫婦でベーシックインカム2人分の14万円しかもらえないことになります。



質問者:

 なるほど年金が実質3分の2になってしまうのは問題ですね……。



筆者:

 前々から申し上げていますが、高齢者の給付額を減らすことに賛成するのは、

 「将来の自分の給付額を減らすことに賛成」することを意味します。

 早くに亡くならない限りは、人は誰もが高齢者になりますからね。

 

 基本的にあらゆる方面での国民負担増に全力で反対していく必要があります。


 また、社会保障が削られることから国民年金加入者も医療費や介護費用が全額自己負担になることが予想されます。


 社会保障は安心した国民生活を保障するための制度だと思っています。

ですから、いくら社会保障制度が「持続可能」になったとしても、国民生活が成り立たなくなれば意味がないし、本末転倒だと言えると思います。



質問者:

 確かにそうですね……。

 今も徐々に負担が増やされて現役世代すらも誰も生活が保障されていない状況ですけど……。



筆者:

 更に、竹中氏のベーシックインカム毎月7万円を全国民に支給するためには100兆円の財源が必要と言うこともあって“資産課税“と言うのも維新の会の一部の議員は提唱しています。

 (現在の社会保障費を全てカットしても年間予算37兆円しかないため増税は必至)

 

 衆院大阪9区選出の足立康史氏の案では

 日本にあるすべての資産(家計・非金融法人・政府資産)合計約3600兆円に1%の課税を行い36兆円の増税を行うようです。


 それも衆院選挙で当選し、身の安全を確保してから提案しているのですから“サギ”に近いものがあると思います。


 しかも社会保障費と資産課税1%でもまだ足りないので2%に引き上げとかそういう話になるでしょう。



質問者:

 預金にまで課税しようだなんて本当にどうかしちゃってるんじゃないですか?



筆者:

 基本的に納税をして残った金額を銀行に入金されていると思うんです。

 それに課税しようというのはどう見ても「二重課税」と言って良いと思います。


 今もガソリン税と消費税の二重課税状態ですが、二重課税が増えれば増えるほど経済成長が阻害されることが予想されます。



質問者:

 日本国民を全員沈没させたいんでしょうか……。



筆者:

 これを防ぐためにはお題目だけは良くても「竹中平蔵流ベーシックインカム制度」には全面的に反対していく必要があると思います。


 確かに現状の生活保護制度には問題はあります。


 しかしベーシックインカムでやっていいのは、あくまで真水の返済不要の国債発行を財源とし、

 現行の社会保障に上乗せをするタイプです。


 特に「財政破綻論」がベースの考える人たちの「持続可能性」を重視した社会保障はどこかしら重要な部分を削るので全力で反対することが大事だと思います。



質問者:

 騙されないことが大事ですね……。



筆者:

 その上で他の社会保障関係の費用は削られているのですから、

病院にも行けない人と言うのが増えていくことでしょう。


 ※病院と薬に依存しないほうが良いと思っている筆者にとっては、この要素はプラスかマイナスか判断に迷うところではあるのですが。



質問者:

 「ベースの生活保障」と聞くととてもよく聞こえてしまいますが、

 あまりアテにならないことが分かりますね……。



筆者:

 日本は悪用できるところは悪用してくる人って言うのが実を言いますと多いので、

 煮詰めないかなり危険な制度であることがお分かりいただけたと思います。


 特に制度として世界ですら浸透して無い政策を“どうとでもなる形”で実行するというのは非常に危険であるように僕は感じます。



質問者:

 「生活を保障する」という言葉を信じてはいけないということですね……。



筆者:

 税金の範囲内で支出をしようとするために狂った政策になってしまうのです。

 「PB黒字化」がいかにおかしいか改めてわかると思います。

 日本の場合は特に通貨発行権がありハイパーインフレにもなっていないので、まだまだ国債を発行できる力はあります。

僕は最低でも30兆~50兆円は追加発行できると考えています。


 では次に維新の会が「中国の繋がりがあるのではないか?」ことと「自民党の互換勢力疑惑」言うことについて見ていこうと思います。

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