表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ギナ・ファナトラ機械工学研究所 ~彼女はロボットが造りたいそうです~  作者: 八波草三郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/34

足は飾り?(1)

 ギナと一緒に3Dモデルを眺めていると人体っぽくなってきたと思えます。用途を限定するならこのままでも実用に耐えるんじゃないかって思うくらい。


『腰を覆うプロテクタは大型かつ重厚になっております』

 ファトラが今日までの変化を説明してくれます。

『レリ様のご提案くださった駆動機構はシリンダが露出する構造を有しており、外部からの衝撃に対応する必要が生じました』

「そのぶん重量がかさむんでしたら欠陥といってもいいのでは?」

「些細なことなの。ヒッププロテクタは予備燃料とかの格納場所としても便利なの」

 ギナが言うには、手の届きやすい場所は都合がいいのだそうです。

『姿勢制御用の噴射口等も設ける予定となっております』

「なるほど、色々と用途があるなら僕に異論はありません。ちょっと思ったんですけど、宇宙運用だけを考えるならこの形状でも十分なんじゃないですか?」

「できなくもないの」


 ぼくが思い付くようなことは彼女も分かっていたようです。完成と口にしない以上は何か理由があるのでしょう。正直、予想できてしまうのですけど。


「蹴れ……」

「はいはい、蹴れませんね。そういう趣旨での股関節構造でしたもんね」

「訊かないでほしいの」

 妨げられたギナはちょっと不満そうです。

「重力下での建設作業や宇宙開発での運用も視野に入れてるの。そういうのは足がないと不便な場面も多いの」

「宇宙開発?」

「別に厳環境下への生活圏の拡大までは考えていないの。可住惑星を探せばいいだけなの」

 観測可能範囲だけでもかなりの数の可住惑星が発見されています。

ウェア(宇宙服)無しでなければ生活なんて成りたたないの」

「不便極まりますもんね」


 現人類には超光速航行技術があります。目的地さえはっきりしていれば空間連結する方法もあるのです。無理に厳しい環境の惑星に移住する必要性はありません。


「でも、人の生活に資源は不可欠なの。母なる星ナルジみたいに、惑星を消耗させて発展していては未来に負の遺産を残してしまうことになるの」

「このロボットを極限環境下における資源開発にも運用可能だと思っているんですね?」

『戦闘に耐えうるということは、様々な場面にも対応できうると仮定できます。それらを踏まえて研究開発を行っております、レリ様』

 ファトラも汎用性を鑑みてギナの設計思想を反映させているみたいです。


 ぼくたち人類の大部分は未だ発生した惑星だけに留まっています。この星だけを生活の場としていた頃は当然資源採取を行っていました。そうして消耗させた惑星を復活させるのには相当の努力を要したのです。


「足は飾りじゃないの。殴るのには踏ん張りがきかないとダメなの!」

「そこに帰結してしまうんですね」


 思わず溜息が出てしまいました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 更新有り難うございます。 ……偉い人にはそれが解らないのです?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ