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僕は幼馴染みと付き合いたい ~しかし裏では彼女も知らない話が進んでて~

作者: 佐古昭博

「政ちゃんは私と結婚ね」


 と最近になってこんな夢を見る。


「はっ! ……はあ、夢か……」


 僕、後藤政志(まさし)はどこにでもいる高校1年生。容姿普通、成績普通のごく一般的なしがない男だ。高校生活も半年近く経つと、学校にも慣れてきて、好きな女子が出来た。同級生の真宮(まみや)リンで、またこの子が夢の原因だ。

 彼女は成績優秀で校内でもトップの成績を誇り、顔も背中まである艶だった黒髪にぱっちりした目、そして綺麗に伸びた眉毛と綺麗に整った顔立ちをしている。そして彼女とは中学までは別々の学校だ。つまり高校で始めて同じ学校になったのだ。

 しかしそんな僕と彼女には昔にちょっとした接点がある。それは僕達の父親同士が大の仲良しで、ときどきお互いの家に行って遊んだ仲であるというのだ。だからお互いのことをそこそこ知っていると思う。

 彼女の家は代々続く名家で昔ながらの雰囲気が漂い、建物は威厳のある和風建築で敷地は結構広い。子供ながらにその敷地の広さをよく覚えており、そこで彼女と遊んだものだ。

 同じ高校で始めて同じクラスになって半年も経つのにあろうことかまだ話していない。中学からの同級生山科(やましな)康大(こうた)からは、


「昔からの馴染みなら話くらい大丈夫じゃなね?」


 と言われたが、何か気恥ずかしい。始めて同じクラスになったせいか? 惚れてしまったせいだろうか? 中学まではそこまで意識してなかったのに、同じ高校に入り彼女の学校での生活ぶりを見て感じて、好きになってしまった。

 そして10月になり席替えをすると、まさかの彼女と隣同士になった。彼女は廊下側で僕は彼女の左隣だ。

(ど、どうしよう、話しかけるか? いや、それは久しぶり過ぎて変か?)

 そう思いながらあわあわしつつ、ちらっと彼女の方を向くと目が合った。

(え……)

 何秒お互いを見ただろうか。じっと彼女は見つめて、軽く微笑んだ。しかし僕は恥ずかしさのあまり耐えきれずに目を逸らした。しかしこれで確信した。

(彼女もちゃんと覚えている)

 そして放課後。彼女はいつも部活へ行く前に教室で10分ほど本を読んでいるので、その時に僕は意を決して話しかけた。


「こんにちはっ……」

「……」


 彼女はこっちをじっと見てため息をつく。え? 何かまずいことしたか?


「もうやっと話しかけて来たっ……」

「え?」

「話しかけるのに半年かかるってどういう了見なのかしら?」

「え、いや、その……」

「もう、私のこと忘れてるのかと思ったわっ」

「いやーっ、それは……」


 話す機会がなかっただけで……、そんなことを思っていると彼女はつゆ知らず少し寂しげで怒り気味だ。しかし、


「けどこれでやっとまた楽しく会えるわね、政ちゃん♪」


 と彼女はニコッと微笑んだ。そしてそれ以来、合間をぬって僕のとこに来て話しかけてくる。ほんの2、3分程度だが楽しい。そして軽く一緒に帰る仲までになった。(家はそれぞれ反対側なので僕が遠回りする)

 遂にある日の事。


「久しぶりにうちに来る?」


 きました。彼女からのお誘い。断る理由などなく、


「いつ行こうか!?」


 僕はつい喰い気味に訊く。


「そうね、明日土曜日だから明日はどう?」

「分かった明日な?」

「うん」


 そして家に帰り、


「明日真宮家に行くから」


 と両親に伝え、何するかとどきどきしながら翌日。久しぶりにそこに行くと改めてその家の広さに驚く。この年齢になると分かる趣を感じさせる広い敷地が立派であると。


「こ、こんにちはーっ」

「いらっしゃーい」


 リンちゃんは優しい顔で玄関に来て膝を床まで降ろす。彼女は学校とは違い髪を丸めて櫛をさし和服を着ている。僕はその格好にドキッとする。


「リ、リンちゃん、それ~……」

「ふふふ、驚いた? 私、最近家ではこの格好なの」

「そ、そうなんだ」


 彼女は笑顔でじろじろと僕を見る。この建物でこの格好はかなり似合っている。控えめに言って最高だ。しかし僕は恥ずかしさのあまり、


「うん、まあ良いんじゃないか?」


 と目を逸らしながら心ないことをつい言っしまった。彼女は何も言わない。ちらっと彼女を見ると、少し不機嫌そうだった。


「さ、行くわよ」


 少し口調を強めて言って僕を奥に連れて行く。それより彼女のうなじが何とも言えないほどエロい。僕は落ち着かずきょろきょろと屋敷内を見て色々期待しながら、


「あのご両親は?」

「あぁ、買い物に行っているわ」


 お、これは!? と変な期待をしながら彼女の部屋……ではなく、広い和室に連れられた。


「しばらくここで待っててね?」


 そう言って彼女はここから出て行って、待っていると彼女は懐かしい人生ゲームをどこからか持ってきて、


「久しぶりに遊ばない?」


 と言ってきた。それは子供の時によくしたボードゲームだ。まぁ普通に遊ぶのもやぶさかではないので、久しぶりに楽しんだ。


「あ、私、結婚ね」

「え?」


 彼女はふふふと笑い、僕はついドキッとする。その言葉が僕の心に刺さる。


「子供4人出来ちゃった」


 等と二人で楽しんでいると、彼女はあっ、こっちを見てと言ってきたので、振り返ると彼女の両親の他に机の上にケーキが置いてあった。


「こ、これは……?」

「何言ってるの? 今日は私の誕生日よ」

「あ……」


 そうだ。今日はリンちゃんの誕生日だ。誕生日会に僕が呼ばれたのか。僕は嬉しさと自分の愚かさに震えた。


「ど、どうしたの? そんなに震えて?」

「いや、感激で震えて」

「ありがとう政ちゃん」


 そしてリンちゃんの誕生日パーティーをした。


「誕生日おめでとー」

「ありがとう」


 そして4人でわいわいと楽しんだ。

 

「政志元気だったか?」

「えぇ、はい」


 等と話していると、リンの親父さんが、


「いやー、めでたいなー。リンも16歳かーっ」


 と酒を飲んでほろ酔いながら言う。


「リンも結婚出来る年なるわけだ……」


 おいおいと親父さんは言う。


「何言ってるのお父さん。まだ早いわよ~」


 彼女はこっちを見てニコッと笑う。僕はドキッとする。リンはもしかして……と思っていると、


「そうか? 浅野家とかからもう縁組相談来てるぞ?」

「は?」


 彼女は目を見開いて止まっていた。


 え? 縁組相談?

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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