夜のオヤクソクですわ
夜は家族揃って穏やかに夕食の後、サロンでお互いのその日の出来事を語り合った後風呂へ。
風呂は各部屋に付いているんだけど、朝シャワーで軽く汗を流すのと違って、お風呂はそれぞれのお付きが世話をするのがこの世界らしい。
俺もお付きのメイドにマッパに剥かれて、猫足のバスに突っ込まれ、裏も表も磨き上げられた。
お付きのメイドは二十代前半の可愛い系、マリアンヌ。
うら若い女性にあんなとこやこんなとこまで、これでもか!って言うほど洗われて、ダメージ大デスワ。
精神的にクルものはあっても、体は慣れていることだから、変な声出さなくて済んだけど。
風呂から上がったら、拭かれて着せられ、乾かされ、ベッドに押し込まれた後は、全身マッサージ。
コルセットで締め付けていてガチガチになってた体が解れるのだけど、嫌だこの子テクニシャン!
変な声が止まりませんでした。
昨日に引き続き、ライフゲージ赤ラインで気を失うように、さっさと眠りに落ちましたとさ。
だがしかーし、苦しさと違和感で目が覚めた。
何故か俺って仰向けだと寝付けないんだよね。
だからうつ伏せで寝てたんだけど、二つの肉の塊が『潰れてます!タスケテー』って感じで苦しくて。
横向きでも、デーンと存在を主張するそれは邪魔だし、何より谷間に汗をかく。
何で俺にこんな邪魔なものが付いてんだよ!
俺がデザインしたんだっけな、なら俺のせいか!
目が覚めてしまったけど、時計を見るとまだ10時過ぎ。
マッサージしてたのが9時前だったから、寝てたと言うより色々な精神的負荷で、気を失っていたのか?
窓から外を見ると並んだ大小の二つの月。
うん、ちょっとファンシーで女性向けゲームっぽいかな?
外はその月で明るいから、少し庭でも歩いて来ようかな。
体を動かしたら眠れるかもしれないし。
うちの屋敷は三階建てで、一階はダイニングやホール、応接室にサンルームや遊戯室、一般的な客室と後は厨房やら何やかや。
二階は家族用ダイニングやサロン、書斎や執務室、衣装部屋、それから親しい人…つまりある程度身分のある人への客室などなど。
三階が個人の部屋で、それぞれにバストイレ、バルコニー付き。
身内への客室も有る。
俺は部屋を出て一階を目指してたんだけれど、ルート上に有る兄の部屋の前を通りすがったとき、声が聞こえた気がして耳をそばだてた。
そばだててしまった………。
「……あっ…………痛い……もうやめろ」
「何を仰ってますか、まだまだこれからでしょう」
「…………んっ……でも…もういい…はぁ…はぁ……んん」
「そう言ってここでやめたら辛いのは貴方でしょう」
「…だって今日はリズが無理したから……」
「リズヴァーン様の手ほどきですか。
では尚更こんなところでやめられませんね」
「……んぁ……、もう…もういいから……」
「ほら、だんだん気持ち良くなってきたのでしょう?
体は正直ですよ」
「お前…性格悪すぎ……くぅ…」
「おや酷いですね、私は貴方を気持ちよくして差し上げていますのに。
ほら、正直に仰られても良いのですよ、気持ちいいのでしょう?」
「……ん…うん………気持ちよくなってきた……んっ…」
「フフフ、正直な貴方はとても素敵ですよ」
「……あぁぁ…………」
はい、オヤクソクですね、腐な女性向けへのサービスシーン。
これとよく似た会話一時間少し前に俺とマリアンヌも交わしました。
意味深に聞こえるマッサージシーンです。
誰得だよ!
スチル無しのフルボイスは妄想掻き立てまくりだよ!
ついつい美少女フェイス兄と二十代後半メガネ従僕の絡みが浮かんできたよ!
記憶を取り戻してから何度目の精神攻撃だよ、お陰で色々なゲージ減りまくりで、部屋に戻ってベッドにダイブ。
もう夜は部屋から出ません、ええ出ないとも!
兄の精神攻撃で朝まで眠れたのは良かったけど、案の定悪夢にうなされましたとさ。