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これは優しいお話です  作者: aー
   ダルヤ
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港町ダルヤ

危険な森を抜けてしばらく行くと、そこはキラキラ輝く海が広がっていた。

 外国とのやり取りが多く、冒険者ギルドの規模が小さい代わりに、海軍の基地があるらしい。ここで起こることはこの街の法に則って裁かれるため、王国の中でも特別な街なんだって。他にも、雪に覆われた街なんかも王国にはあって、そういう土地の領主はとても強い権限を持っているの。

 このダルヤでは漁師が最も憧れる職業で、冒険者になりたいという人はあまりいないらしい。時々海でも魔物が出るけれど、そういうのも漁師がついでに倒しちゃうから、冒険者に依頼を出す人も少ない。

 我らが商会ももちろん支店として出店しているんだけど、港町独自の気風がよそとは違い、色々とうまくいかないことも多いらしい。

 私とネッドはこの街の調査および、情報収集を兼ねている。

 というのが、表立っての建前。

「お嬢さん、これ旨い」

「ネッド、このイカも最高よ」

 港町についた私たちはとりあえずギルドで手紙を出して、それから迷うことなく港の傍の市場に来た。そして出会ってしまった。

 そう、美味しい屋台に!

「ネッドのその魚、おいしそうね」

「一口どうぞ」

 今回も変装しているネッドは、爽やかに笑って串焼きにされた魚をよこした。遠慮なく頬張ると大変美味だ。なんで焼いただけの魚がこんなにも美味しいのだろうか。

「生きててよかった」

「・・・ですね。次は何を食べますか?」

「あれ! あの赤いなにか!」

 適当に指さして、それこそ目に入るものから片端に食べていく。なんて贅沢な食い倒れ珍道中(違う)だろうか!

 ここはもう治外法権だから王族も簡単に口出しできないだろうし、いやもう最高じゃん。

「お嬢さん。俺次はあっちがいいです」

「うん! 全部食べちゃおう!」

 心なしかネッドも良い笑顔だ。

 私とネッドはとにかく食べまくって、そして宿をとった。今回も兄妹と間違われて仲良く一部屋だったからか、ネッドが何か言いたそうだったけど無視した。

 節約して、明日も美味しいものを食べるのよ! と力説したら、何故かとても乾いた笑いを浮かべていたけれど、まあいいわ。

 アレクたちには悪いけど、私は全力で逃げてみせるわ!


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