帰りは大変スムーズでした
行きと違い、帰りはネッドに変装を続けてもらった私たちは、誰からも不審がられることもなく、大変スムーズな工程だった。
まあ私も変装は解かなかったけどね。
ネッドと二人の旅は無駄がなく、美味しいものにあふれていた。
予定の半分以下の日数で帰還した私とネッドを、街の人たちは温かく迎えてくれた。
「おかえり、どうだった」
「お父さん、ただいま。美味しいものたくさん見つけたよ!」
そりゃあ良かった、とホッとして笑う男に、私も自然と笑みを浮かべた。
ようやく帰ってこられた!
「道中大変だったな。冒険者の件は聞いた。よく耐えたな」
「ネッドがいてくれたもの。それに結果として悪くはなかったわ。あ、でもね。王子さまにあったのは失策だったわ。なんでか出迎えてくれたのよ」
「・・・・・・まあ、そんなこともあるだろう」
絶対にありえない、という顔を隠しもしないで言い切った養父に苦笑する。
「アレクも背が高くなっていたわ」
「お前をまだあきらめていないのだろう? ちゃんと話はできたのか?」
「それが、神殿の偉い人に狙われちゃって、止められる前に王都を脱出してきたの。だからお別れはきちんとできていないわ。あとで手紙を出すけど」
「神殿?」
それからはたくさんの話をした。森であったこと、王都へ向かう途中で王子やアレクが迎えてくれたこと、王都で孤児たちにあったこと、他にも、ソウ先輩というからかいがいのある憲兵と出逢ったこと。その憲兵でちょっと男装してアルバイトをしたこと。そして、神殿で養子になれと言われたこと。
話の途中、ギルマスのアーシェや父であるラティーフには時々怒られたが、それでも無事に帰ってこられて良かったと言ってくれた。
夜はシシリーがご飯を作ってくれた。最近はこうして夜に訪ねてくることも増えたのだそうだ。仲良きことは良きこと。私の家族がもう一人増えそうな気配にニヤニヤしてしまう。
「ねえシシリー、今日はいっしょに寝てくれる?」
「え? ああ・・・えっと、彼が、泊まってもいいっていうなら」
シシリーは嬉しそうに、でも戸惑った顔でちらちらと養父を見る。あちらも一瞬戸惑ったようだが、一度大きく頷いた。
ほほう、関係が進展しているようで良いこと。
シシリーの嬉しそうな笑みがまぶしかった。




