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これは優しいお話です  作者: aー
招かれざる客
230/320

雇われた冒険者


 まず目が合ったのは、目も髪も深海のような色をした壮年の男だった。右の頬に走る傷跡はずいぶん昔のものだろう。大きな剣を背中に預け、獣のような鋭い視線を投げてきた。

「あんたがリーナか、俺たちはAランクパーティ暁の鷲だ。この街のギルマスに破格のクエストを貰ってな。あんたたちを保護するよう言われた。あんた、この男に見覚えは?」

「クルーク!」

 槍を持った女の人が慌てたように彼を呼んだが、本人は気にせず地面に置かれた毛布をめくった。大きさからそうかなと思っていたが、中にいたのは見慣れない男性の遺体。こと切れているのは明らかだった。

 誰かが目を閉じてくれたのか、意外にもじっくり見ることができた。

 首元にカラスのような刺青があること以外、とくに特徴もない。

「ないわ」

「この入れ墨がわかるか? 暗殺者を生業にしている連中がいれるもんなんだが」

「知らないわ。でも、街には現在第四王位継承者がいる。彼ではなくわたしを狙ったとしたら、おそらくわたしのことを調べた人間の仕業ね。殺せと命令されたのかしら?」

「それを調べるのは俺たちの役目じゃねえが、あとはこれと、あんたたちを連れ帰ることが俺たちの仕事だ」

「そうね、わたし個人としてもお礼をお支払いするわ」

 クルークと呼ばれた男はわずかに目をすがめたが、それ以降だんまりを決め込んだ。

 代わりに声をかけてきたのは先ほどの槍の女性だった。

「ねえあなた、リーナでしょう? あたしはソウル、さっき話したのがあたしたちのリーダー、クルーク。そっちの盾持ちがイノーマス。あっちにいる細長いのが双剣使いのアルカイコ、隣がその弟のモーディッシュ。あたしはアルカとモーディって呼んでる。ちょっと離れたとこにいるのが、プリーストのサクロよ」

 ご丁寧にいろいろ教えてくれた。

「ごきげんよう、ソウル。わたしがリーナ。あなたたちに感謝します」

「十一って聞いてたけど、ずいぶん大人びてるのね」

「それなりに稼ぎがありますので、子どものままではいられないわ。それよりも、これから森を出ることは可能かしら」

「夜が近いから無理は出来ないわ。今夜はここで野営ね」

「そう。手間をかけます」

「いいのよ、これも仕事だもの」

 なんだか爽やかな女性だ。六人中唯一の女性は、新緑色の髪を肩で切りそろえていて、胸当てをしているが巨乳は隠せていない。無駄な脂肪がなく、全て筋肉なのだろう。とても美しい曲線美を隠すことなく見せつけてくれる。

 優しそうな様子と色彩に、冒険者ギルドのフレスカを思い出した。

今後はもっと、冒険者向けの衣装を手掛けようかしら。

「お嬢さん、シシリーさんを朝まで眠らせますか?」

「今日はろくに口にしていないわ。水分を取らせないと」

「黒パンは固すぎますね。パンがゆにします」

「ええ、頼みます」

 双剣使いの兄弟がずるずると遺体を引きずっていき、洞窟からは見えない位置に置いた。このあと仲間が取りに来るかもしれないので、一晩中三交代制で見張りをするのだという。

 雨が止んだ後は魔物の気配を追い難いから絶対に無理はできないと言われた。

「一難去ってまた一難というけれど、まだオウジサマのことも終わっていないうちに面倒なこと」

 わたしの呟きは誰にも拾われなかった。


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