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これは優しいお話です  作者: aー
   ダルヤ
100/320

ノア・アルロという男 sideネッド

 普段ならばしゃくに障るだろうその態度も、何故か許せる自分が居た。

 他の誰がそうしても、そう、あのソウ先輩とやらの時だって気に入らなかったのに、なぜかノア・アルロがすると許せた。

「リーナ、行儀見習いしていたわりには行儀が悪いよ。食事中はモノを読みながら食べちゃダメだ」

「えー。時間がもったいないわ」

「それは君の手際が悪いからだ。限界ってものがあるのは知っているだろう? 多少の無理をすればできるっていうのは、もともと出来ないことと一緒なんだよ」

「むー。わかったー」

 まるで普通の子どものように、見たこともない不貞腐れた顔で頷く女に驚く。お前、そんな顔もできるんだな。

「もう、ネッドも甘やかせすぎ。ちゃんと、ダメなことはダメって言ってあげないと」

「お嬢さんにそんなこと言えませんよ」

「何言ってるわけ? 大事ならちゃんと言うべきでしょ」

 正論過ぎて心臓に刺さるものがあるが、俺は別に教育係ではない。そう、俺は護衛なんだ。

「あ、また! リーナ、見えてるよ。ページをフォークでめくるの止めな!」

 おそらくこいつは、兄のようなつもりで接しているのだろう。彼女もどこか楽しんでいる気配があるので悪くはないのだろうが・・・

「もう、ママンは口うるさいわね」

「せめてパパって言ってよ!?」

「ははは、お二人とも仲がいいですね」

 乾いた笑いを洩らせば、にやりと笑った女が俺を見てウインクをきめた。

「羨ましいでしょ!」

 こいつ、なんか性格変わったな・・・

「ええ、俺もまぜてくださいよ」

「んふー!」

 まあ、可愛いからいいか。たまにはこんな風に甘やかせてやろう。俺には守ることしかできないのだから。

「ネッド。ちょっと教育のことで話し合おう」

「それは嫌です」

 ちっ。と舌打ちしたノアは、また食事の介助それもどうなんだにもどった。

「ネッド、今夜は君が食べたいものにするから遠慮なく言ってくれ」

「じゃあ、お嬢さんのたべ」

「あ、それはなし。教育的指導だから、しばらくリーナの好物は用意しません」

「なにゆえ!?」

 ノア・アルロ。この男の前でならリーナはおそらく普通の女の子に戻れる。

 願わくば、彼女の未来にたくさんの幸せをくれる男であってほしい。ノアがいれば、少しはそれが叶う気がする。

 数年後更に美しくなったリーナが、嬉しそうに俺に笑いかける姿を想像した。

「じゃあ今夜の夕食は」

 まだノアが知らない彼女の好物を告げれば、嬉しそうに満面の笑みを浮かべたリーナが居た。


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