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【揺花草子。】(日刊版:2019年)  作者: 篠木雪平
2019年06月
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【揺花草子。】<その2697:魂の牢獄。>

 【揺花草子。】<その2697:魂の牢獄。>


 Bさん「人を呪わば穴二つと言いますね。」

 Aさん「言いますね。

     ・・・あれ、まさか慣用句シリーズ復活?」

 Cさん「これは慣用句と言うよりはことわざでしょ。

     ことわざシリーズ開幕と言うんだったらどんと来いだけれども。」

 Aさん「どんと来いですか・・・。」

 Bさん「どう言う意味かな?」

 Aさん「え、『人を呪わば穴二つ』だよね?

     人を呪殺しようとすると呪いは自分にも跳ね返って来るものですよ。

     結果的に自分の墓穴も必要になるんですよ。って意味だよね。」

 Cさん「そうかしら。

     呪いや穢れを溜め込んだ末に変貌するのは魔女じゃない。

     その感情エネルギーの爆発が宇宙の熱的死を救うために必要なのよ。」

 Aさん「え、あなたキュゥべえなんです?」

 Bさん「まあともかく『人を呪わば穴二つ』。

     阿部さんが言った通りの由来だけど、

     もっと意味合いとしては人に仇なそうとすると自分にも返って来ますよ、

     つまりは因果応報ですよって言う事だよね。」

 Aさん「そうだね。」

 Bさん「しかしながら阿部さん、ちょっと考えて欲しい。

     われわれ人間には鼻の穴と言うものがある。

     そしてこれは何と言う偶然か、2つで構成されているね。」

 Aさん「うん・・・? うん・・・まぁ・・・。」

 Cさん「もちろんクリリンくんのように鼻の穴がない人とか

     バカボンの本官さんみたいに鼻の穴が1つしかない人もいるわけだけれども。」

 Aさん「えーフィクションの話持ち出すんです?

     だったらもう昨今のマンガのキャラはだいたいみんな鼻の穴がないですよ。」

 Bさん「まあとにかく、人の鼻の穴は2つ。」

 Aさん「うん・・・。」


 Bさん「つまり人間はみな

     呪いを背負って生まれて来たと

     言えるんじゃないかな。」

 Aさん「うん、言えないよ?

     ぜんぜん言えないよ?」


 すべての人は祝福されて生まれて来るものではないのか。

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