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僕が好きなのは  作者: そると
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それから何日かが経った

ある日の午後。


海桜は自宅の自室にて

真剣な顔つきで悩んでいた。


部屋には大量の洋服や

アクセサリーがあちこちに

無造作に転がっている。


アレも違う

コレも違うと

クローゼットにあったものを

次々と着ていた結果

この有様である。





海桜「うーん…」





そこへノックの音が聞こえて

返事を返す。





海桜「ん?はーい」





ガチャ。


ドアを開けると立っていたのは

スーツ姿の蒼空だった。





海桜「あー蒼空くん‼」



蒼空「なに?」



海桜「や……スーツ姿って珍しいから////」



蒼空「そうか?変?」





頭をかきながら

自分の格好を海桜の部屋にある

姿見で改めて見直す。





海桜「んーん。それで決まり?」





ジロジロ上から下まで

蒼空のスーツ姿を眺める海桜。





蒼空「うん、これがベストじゃない?

親父さんにもおばさんにも

褒めてもらったし(笑)」



海桜「いいんじゃない?」



蒼空「ねぇ、ネクタイやって」





蒼空が持っていたネクタイを

素っ気なく顔を背けたまま

海桜の方にガッと突き出す。


それを見て海桜は

ニヤニヤとしている海桜。




海桜「蒼空くん、

ブレザーだったんたから

自分でできるじゃん(笑)」



蒼空「いーからやって////」





顔を真っ赤にしてる蒼空。





海桜「もーう(笑)」





ネクタイを結ぶのくらい

お父さんのをやった事もあるし

燐ちゃんに頼まれた事もあるし

高校生の蒼空くんのを結んだ事だって

何度もあるはずなのに

面と向かうだけでなんだか

気恥ずかしさでいっぱいになって

自然と顔が近づく度に

ドキドキしている。





海桜「動かないで…////」





海桜のか細い手が

蒼空の首元で動いている。


たったそれだけなのに

なんだか気恥ずかしさで

いっぱいになる蒼空。





蒼空「おう…////」





自然と会話もぎこちなくなる。





海桜「く、苦しく…ない?////」



蒼空「うん…////」



海桜「そう?出来たよ?////」



蒼空「…うん////」





海桜が下から蒼空の顔を見上げて

蒼空も海桜を上から見つめると

顔を真っ赤にして目を逸らす2人。





海桜「ご、ごめん…////」



蒼空「いや、別に…////」





パッと首元から

海桜の手が離れた瞬間

横から声がした。





燐斗「イチャイチャすんなコラー‼(怒)」





振り向くと

頬杖をついた燐斗が

不満気に立っていた。





海桜「え⁉り、りりり燐ちゃん⁉いつから⁉」





驚いた海桜は

さらに顔を真っ赤にする。





燐斗「うん…とー…

『動かないで…////』

って感じのトコから(笑)」



海桜「そ、そんな前から…////

居たなら声くらいすぐかけてよー////」





海桜はポカスカと

燐斗の胸元を力なく叩く。





蒼空「悪趣味だなお前…(怒)」





不機嫌に蒼空が燐斗を睨みつける。





燐斗「何度も声かけたっつーの‼

でも2人で世界入っちゃてて全然気づかねえし

仕方ないから見てたんだろーが‼」



蒼空「ふんッ…どうだかな////(怒)」



燐斗「それよりなんでそんな格好してんの?」



海桜「今度ね、鈴花さんの結婚式があって」



燐斗「鈴花さん?」





名前に聞き覚えが無いと

燐斗が悩んでいるので

海桜が記憶を呼びおこそうとして

自分の方に手招きする。





海桜「ほら、この間…

喧嘩しちゃった時に会ったって

燐ちゃんも言ってたじゃない?(汗)」



燐斗「あー…あの人ね(笑)

お前も何ていうか物好きってか

普通恋がtak…☓☓☓☓☓☓」





海桜が燐斗の言葉を

遮るようにして口を塞ぐ。





蒼空「ん?恋が?鈴花と何かあったのか?」



海桜「な‼なんでもないの‼…////」



蒼空「でも今…」



海桜「本当に‼なんでもないの…////」





勢い余って海桜が大声を出すと

蒼空は『そうか?』とクシャッとした

優しい笑顔で笑って

優しくポンポンとした後に

海桜の頭をクシャクシャと撫でる。


その笑顔が少し寂しそうで

いつもとは違う気がした。





蒼空「それで?お前は

部屋をこんなにぐちゃぐちゃにしてまで

着ていくものは決まったのか?(笑)」





海桜は蒼空の言葉にハッとして

部屋の有り様をみて涙ぐむ。





蒼空「まーったく世話が焼けるなお前は(笑)」



海桜「だって結婚式って分からなくて…」





それから渚咲も合流して

4人でアレだコレだと模索して

ファッションショーをしてようやく

結婚式に着るドレスを決めた。





海桜「ありがとう〜…」



燐斗「女子って本当に色々かかるよな…」





燐斗が呆れ顔で座りこむ。





渚咲「そりゃそうよ。

女子は努力して綺麗になるんだから」



燐斗「へー」



渚咲「それなのに男は‼

女子の努力に気づきもしないし

アホばっかりなのよ‼

ねぇ?海桜?」



海桜「そうだね(汗)」



渚咲「あ、でもでも

蒼空さんは気づいてくれそうー(笑)」



蒼空「ん?そんな事ない、ない(笑)」



渚咲「そうかなー」



海桜「あ、渚ちゃん

そろそろ電車の時間ヤバイんじゃない?」





時間を見ると

22:52分を回っていた。


なんか前にもあったような

シチュエーションだった。





渚咲「それじゃあね」





海桜と蒼空が玄関まで見送り

燐斗と渚咲は二人で帰っていった。





蒼空「あの二人ってさー」



海桜「ん?」



蒼空「なんか似合ってるよなー」





ボソッと蒼空が不意に言う。





海桜「そうかもねー」



蒼空「よし、片付けだな(笑)」



海桜「はーい…」





部屋の有り様を思い出して

肩を落とす海桜。


そして蒼空と二人で部屋に戻って

いそいそと寝るスペースだけでも確保しようと

ふた手に別れて作業を開始する。


まぁある程度は

渚咲や燐斗も手伝ってくれていたので

それほど苦労をしなくても

片付けられそうだった。





海桜「やーっと終われそー…」



蒼空「そーだな(笑)」



海桜「ごめんね?」



蒼空「別にコレくらいはいいよ(笑)」



海桜「ありがとう(笑)

あ、ねぇ、蒼空くんココに寝て?」





海桜が自分のベットを指して

何やら用意を始める。





蒼空「なんだよ?」



海桜「マッサージしてあげる(笑)」



蒼空「お、気がきくねー(笑)」





と、蒼空が海桜のベットに

うつ伏せ状態で横に寝転がる。






海桜「フッフッフー♡

じゃあ始めるからねー(笑)」





海桜はまず蒼空の足元から

段々と徐々に上の方へとマッサージを始める。





海桜「お客さーん、凝ってるねぇ(笑)」



蒼空「う"ーぉぅー…あ"ぅ…」



海桜「ごめん、ちょっと上乗るね」





海桜が何気なく

蒼空の腰元辺りに股がる。





蒼空「う"…えええ⁉」



海桜「ん?重いって言うのは

無しだからね(笑)」



蒼空「ち、ちげーよ…バカ////」



海桜「なに?」



蒼空「べ、べ別に、なんでもないよ////」





それから数十分の間

蒼空は別の誘惑から耐え忍ぶ事になり

むくむくと湧き上がる煩悩と戦っていた。


しかしその原因となる本人には

少しも伝わっておらず

海桜は真剣にマッサージを続けていた。





海桜「気持ちいい?」



蒼空「き、聞くな…////」



海桜「じゃあ気持ちよくないの?」



蒼空「…お前は………////

き、気持ち…いいよ…」





蒼空は顔を隠すようにして

クッションへ顔を埋めた。


その言葉を聞いた海桜は

満足気だった。





海桜「ふふふ、えい♡」





海桜が蒼空の隙をついて

脇腹辺りをくすぐり出す。





蒼空「…あ、や、やめろバカ////」



海桜「蒼空くんて意外とこう言うの

弱いとこあるよねー(笑)」



蒼空「み、海桜っ‼辞めろっ…よ‼」



海桜「ほれほれ〜(笑)

ここがええんか、ええのんか〜(笑)」





蒼空は力いっぱい体をよじって

無理矢理に向きを変えると

ちょうど海桜の顔が目の前にあった。





海桜「あ…////」





蒼空は目をそらさずに

真っ直ぐ海桜を見つめた。





蒼空「あんまりからかうと…

俺もお兄ちゃんじゃ居られなくなるんだぞ」



海桜「え?」



蒼空「いいのか?それでも…」





蒼空があまりにも

真剣な顔つきだったから

海桜は目が反らせなくなっていた。





海桜「そ、それって……?え⁉

や、ええええ?ないないないない‼」





見つめたまま、

海桜は驚いて顔を真っ赤に染め上げて

ぶんぶんと首を振って否定を

自分に言い聞かせる。






蒼空「あー…もう…////」





蒼空はぶんぶんと首を振っている

海桜の顔を押さえつけると

不意をつくように自分の唇を重ねた。





海桜「☓☓☓☓☓☓☓☓☓☓☓‼⁉」



蒼空「好きだ…////」





突然の蒼空の告白に

困惑して固まっている海桜。





蒼空「ごめん、好きな奴いるんだよな?」



海桜「…////」



蒼空「お前が悪いんだからな?////

り、理性吹っ飛ぶ様なことするから…その…////」





ゴニョゴニョと蒼空が口ごもる中で

海桜はすっかり頭の中が真っ白で

なにも考える余裕がないほどに

のぼせ上がっていた。





蒼空「海桜?」



海桜「あ、…えと…あの…////」





顔を真っ赤にして

一生懸命に言葉を絞り出そうとして

だけど余裕が無くて

頭の中はぐちゃぐちゃで

しどろもどろになって

オロオロとしている海桜を見て

蒼空はフッと優しく笑って

ポンポンと頭を撫でる。





蒼空「落ち着け(笑)」



海桜「や、だって…////」



蒼空「じゃあさ

お前も同じなら頷いてよ(笑)////」



海桜「…////」





コクンッと短くぎこちなく頷く海桜。





蒼空「俺の事………好き?…////」





海桜の顔を覗き込む様にして

目をそらさずに見つめながら蒼空が問う。


海桜は恥ずかしさで

思わず目をそらしてしまう。





蒼空「ん?////」






優しく問う蒼空の声が耳元で囁く。






海桜「…うん……////」



蒼空「本当に?////」



海桜「うん…////」



蒼空「もう一回…する?(笑)」





蒼空が悪戯に笑うと

組み敷くようにして体制を変える。


ドサッ…






海桜「わ⁉…////」









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