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僕が好きなのは  作者: そると
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蒼空「海桜ー‼無事か⁉」



海桜「へ?」




と、気の抜けた声で

返事をする海桜に俊輝が抱きついていて

海桜を見ると薄っすらと

涙目になっているのに気がつく蒼空。




俊輝「あ、そーーーーーーらーーーーーー♡」




と、海桜からすぐさま離れて

スキンシップに抱きつこうと

俊輝が両腕を広げて蒼空の元へと走る。


それを蒼空は軽くあしらうように

慣れた様子でスッと避けると

海桜の元へと駆け寄る。




蒼空「俊輝‼海桜に何したんだよ‼(怒)」



俊輝「いってぇ…ん?何もしてないよ?」



蒼空「泣いてるのに何も無いわけないだろ‼

大体、海桜は純情なんだぞ‼

お前みたいなのが抱きついたりしたら怖がるだろ‼

トラウマにでもなったらどうしてくれんだ‼(怒)」




と、ギャーギャーと騒ぐ蒼空を見て

海桜がクスクスと笑う。




海桜「蒼空くん、大丈夫だから‼

コレは違う嬉しい涙の方だよ‼(笑)」



蒼空「ほんとか?」



海桜「うん(笑)」



蒼空「ならいいけどさ…」



海桜「過保護だなぁ(笑)

ほら、ちゃんと俊輝さんに謝って?(笑)」



蒼空「うん………

ごめん俊輝、早とちりして…」




しゅんとしていじける

蒼空の表情を見て

俊輝がまた『可愛いすぎる♡♡♡』と

腕を広げてスリスリと頬をすりつけて

蒼空に抱きつく。


そして我に返った様に

スッと手を話して鈴花の元へ行くと

鈴花の手を取って蒼空の方へと

向き直ると急に真面目な顔をする。




俊輝「あ、そうだ。

まだ蒼空には話してなかったけどな…」



鈴花「え?俊輝?今言うの?」



俊輝「うん、早い方がいいだろ?」



蒼空「ん?」



俊輝「俺、鈴花と結婚する。

あとついでにイタリアに転勤になった‼(笑)」




と、最早原形がないんじゃないかと思う程に

デレッデレな顔をしてニヤけている俊輝と

顔を真っ赤にしている鈴花。




蒼空「え⁉ついに言ったのか⁉」




目をキラキラさせて

蒼空は俊輝を見つめる。




俊輝「あー、俺じゃないの。

俺は言われてOKした方だぞ(笑)」




と、今時は珍しいピースサインをして

エッヘンと威張る様に胸を張る俊輝。




蒼空「は?」



鈴花「そう、あたしが言ったのよ(笑)

いい加減に我慢できなくなっちゃって(笑)」




鈴花の言葉を聞いて

蒼空が笑う。




蒼空「やーっとかー‼長かったな‼

お前らの痴話喧嘩には巻き込まれすぎたけど

やっと結婚までたどり着いたかー‼」




とはしゃぐ蒼空。




蒼空「本当に。よかったな、鈴花」



鈴花「うん」




何だか少し

いい雰囲気をただよわせている

蒼空と鈴花の2人を

俊輝が間を割るようにして入る。




俊輝「おい、俺の嫁だぞ?(笑)」




その言葉に鈴花がボソリと呟く。




鈴花「まだよ(笑)」




と、逃げる鈴花。




俊輝「なーにぃー⁉(怒)」




俊輝が後ろから鈴花を捕まえて

ぎゅーっと抱きしめる。




鈴花「ふふふ(笑)」



俊輝「愛してるよ(笑)」



鈴花「うん(笑)」




完全に2人の世界に飛んでいる2人を見て

蒼空と海桜が顔を見合わせて笑う。




蒼空「あーもう、

お腹いっぱいだわー(笑)」



鈴花「あ…‼ご、ごめんなさい‼…////」




蒼空の言葉を聞いて

我に返る鈴花は顔を真っ赤にしていて

俊輝の方はニヤニヤと笑っていた。




俊輝「今度は誰の番だろーなー(笑)」




俊輝が意味深に

蒼空に顔を向けてニヤニヤ笑う。




蒼空「ちょっ…俊輝‼…お前‼

酔っ払ってるからって喋り過ぎだぞ‼(怒)」




慌てて俊輝の口元を抑える。




俊輝「XXXXーーーーっ(笑)」



蒼空「海桜っ‼耳…塞げーーっ‼…////」




俊輝が何を言っているかは

分からなかったけど

何となくいい事な様な気がした。




海桜「アハハハハ(笑)」



鈴花「海桜さんて、意外と天然系?(汗)」




笑っている海桜を見てた鈴花が

ボソリと呟く。




海桜「鈴花さん?」



鈴花「何でもないわ(笑)」



海桜「?」



鈴花「ふふふ(笑)

それより蒼空?時間はいいの?

もうすぐ日付けが変わるわよ?」




時計の針は

23:54を回っていた。




蒼空「え⁉…海桜、帰るぞ‼」




慌てて蒼空が海桜の手を取る。




海桜「え⁉わッ‼」



蒼空「じゃあ、帰るわ‼

ごめんなこんな時間まで‼

海桜もちゃんとお礼言っとけ‼」



海桜「あ、うん‼

俊輝さん、海桜さん、

お邪魔しちゃってすみません。

ありがとうございました‼」



蒼空「それじゃあな‼」
















…ブロロロロロロロ…

車のエンジンをかける蒼空。




蒼空「はい、どーぞ?お姫様(笑)」




先周りした蒼空が

助手席のドアを開けて

ニヤニヤしながら頭を下げる。




海桜「姫って、何言ってんの(笑)」



蒼空「本当の事だろ?

こうやってわざわざ

お迎えに上がってるんですから(笑)」



海桜「やめて(笑)」



蒼空「ほら、早くしろ(笑)」



海桜「ありがとう(笑)」




…バタンッ…




蒼空「そう言えば家に連絡したかー?」



海桜「あ」




完全に忘れていた海桜は

少し青ざめた顔をしていた。




蒼空「やっぱりな(笑)

ちゃんと連絡入れておけよー?」



海桜「うん…」



蒼空「お前さー」



海桜「ん?」



蒼空「好きなヤツとかいないの?」




唐突な蒼空からの質問に

思わず声が上ずる海桜。




海桜「ふぇえええ⁉な?何?急に…」



蒼空「や、どうなのかと思っただけ…////」




運転中だから顔を向けないけど

照れ臭そうに笑う蒼空。




海桜「………い、いるよ?////」




その言葉に少し動揺する様に

視線がおよぐ蒼空。




蒼空「だよなぁ…そりゃ…いるよなー

好きなヤツの一人や二人くらい…」



海桜「2人も居ないもん。

好きな人はひとりだもん…////」



蒼空「あー、そうだな。

ごめんごめん(笑)

でも、いるんだな好きな人…」




何処か少しだけ

寂しげな表情の蒼空。


今ここで好きなのは

蒼空だと言えたら

何かが変わるんだろうか

なんて考えながら答えに迷っていた。


蒼空からもその後に続く言葉はなくて

車内にはしばらくの間沈黙が流れる。


聞きたい事とか

話したい事は沢山あって

頭の中をぐるぐると回っているのに

なかなか話を切り出す

タイミングと勇気がなくて

尻込みをしている海桜。




蒼空「親に連絡した?」




また口を開いたのは

蒼空からだった。




海桜「うん、したよ?

知り合いのお家にいて

蒼空くんに迎えに来てもらったって」



蒼空「じゃあもう少しだけ

寄り道するから遅くなるってのも

追加で連絡しとけー」



海桜「何処か行くの?」



蒼空「いいから、な?」



海桜「うん…わかったー」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



[お母さん:海桜です。

蒼空くんと少しだけ寄り道して帰ります。

鍵は持ってるから先に寝てていーよ]




〜♪♫♪♬〜




[母親:はーい♡FIGHT(๑و•̀ω•́)و✧]



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




海桜「なっ⁉…////」




母親からのメッセージを読んで

一気に顔が火照る海桜。


思わず声が出て

隣にいる蒼空が不思議そうな顔をする。




蒼空「何?」



海桜「な、なんでも…////」



蒼空「そう?(笑)」



海桜「そ、それより‼(汗)

どこに寄り道するの?」




慌てて話題をそらす海桜。




蒼空「んー。この時間だしなー…」



海桜「カラオケとか?」



蒼空「海桜は個室がいいのか?(笑)」




意味深な蒼空の言葉に

海桜はまた更に顔を真っ赤にする。




海桜「ふぇ⁉わ⁉

や、ち、ちがくて‼

あの…その…えっと…」




しどろもどろに言い訳をする海桜を見て

蒼空が堪えていた笑いを吹き出す。




蒼空「っハハハ(笑)

お前どんだけ可愛いんだよ(笑)」




くしゃっとした笑顔で笑う蒼空。




海桜「蒼空くんのバーカ…////」




ムッと海桜の口が尖る。




蒼空「海桜、海行こうか」



海桜「海?行きたい‼」



蒼空「機嫌治ったな(笑)」



海桜「あ…」















近くのパーキングエリアに

車を止めて降りると

すぐに塩の香りがして海が見える。


耳をすますと

さざ波の音が

耳に心地良く響いて

気持ちいい。




海桜「まだちょっと寒かったね」



蒼空「そうだな…」




蒼空は頷くと

ポケットに手を入れて

猫背になって縮こまる。


今日の昼間は

天気も良かったけど

夜になって日が沈むと

温度差はあるし

なにより風が冷たく感じる。




海桜「寒いね…」



蒼空「海桜、ちょっと」




蒼空が手招きをするので

近づく海桜。




海桜「ん?」



蒼空「ほら、はよー後ろむけ…」




と、蒼空の前に立たされると

後ろから蒼空の体重がのしかかる。




海桜「わぁ⁉」



蒼空「寒いんだろ?暖めてやるよ」



海桜「あ…りがとう…////」



蒼空「風邪ひかれたら困るしなー////」




蒼空の低い声が

耳元で囁く感じがくすぐったくて

嬉しい様な困ったような

入り組んだ感情がぐるぐるする。




海桜「蒼空くんだって

風邪引きそうじゃん。

あんまり長くいないで車戻ろう?」



蒼空「うん…でも…

もう少しだけ…

このままいようよ…」




蒼空の声が

いつもより近いせいか

なんだか違う人みたいで

余計に緊張する。




海桜「あたしは…良いけど…」



蒼空「うん…………」




それから数分間の間

蒼空は黙って海桜を抱きしめたまま

動かない。


海桜もドキドキと

緊張しながらも体温が心地よくて

そのまま海を眺めている。




蒼空「…………ッくしゅッん‼」




蒼空の豪快なくしゃみで

我に返る海桜。




海桜「わぁ‼蒼空くん、冷たいよ⁉帰ろ?」




振り返った海桜が

蒼空の顔の体温を確認すると

凄く冷たい。




蒼空「おー…寒い」



海桜「もー‼早く‼」




海桜が蒼空を急かす様にして

車への道程を急ぐ。


それからすぐにエンジンをかけて

ガンガンに暖房を入れて

体を暖めてから家路につく。




海桜「蒼空くん、家入ったら

ちゃんとお風呂沸かして入るんだよ?

面倒だからってシャワーじゃ駄目だからね?」



蒼空「…んー…ズピピ…おやすみ」




鼻水を垂らしながら

蒼空が言う。




海桜「おやすみなさい」






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