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僕が好きなのは  作者: そると
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03

03





海桜「わーーーーー♡綺麗♡」



渚咲「海桜、こっち向いて」




はしゃぐ海桜を写真に収めようと

パシャパシャと

シャッターをきる渚咲。




海桜「渚ちゃんみてー♡」




はしゃぐ女子とは逆に

ハァハァと息切れをしているのは

荷物持ちをさせられている

燐斗だった。




海桜「蒼空くん、連れてきてくれてありがと♡」



蒼空「まぁ、暇だったしな」




と、はしゃぐ二人の後に続いて

歩きながら良さそうな場所を探索する。




海桜「この辺はどー?」



渚咲「そうね」



蒼空「そーだなー、じゃあココな」




と、蒼空が燐斗へ指示を出す。




燐斗「………ちょ、おま、も、もてよ…」



蒼空「お前、俺に勝つんだろ?

それくらい若いんだから持てるだろ(笑)」



燐斗「…はぁ……も、ちょ、無理…たんま」




と、抱えている荷物を

一旦下ろす燐斗。




蒼空「お前非力なのな。使えなー(笑)」




と、笑う蒼空。





燐斗「だ、た…ったら

お前、持て…よ……ハァハァ」



蒼空「しゃーねーな(笑)」




と軽々と持ち上げて

スタスタと行ってしまう蒼空。




燐斗「アイツ…なんなんだよ」




悪態をつく燐斗を他所に

蒼空が持っていった荷物を広げて

宴会の準備をする海桜と渚咲。




海桜「燐ちゃん早くー(笑)」



燐斗「…ハァ…ハァ…おー…」


















それから数時間後には

すっかり上機嫌で

海桜は出来上がっていた。




海桜「渚ちゃん♡」




と、酔が回って

すっかり大胆になった

海桜が渚咲にもたれかかる。




燐斗「海桜♡こっちに寄りかかってもいーんだよ♡」




ここぞとばかりに

燐斗がいつもは鉄壁の壁である

海桜の壁を崩そうと果敢に挑戦するも

敢え無く失敗に終わる。




海桜「やーらの」




すぐにプイッとソッポを向いて

次に目についた蒼空の方へ

フラフラと向かう海桜。




海桜「そぉーらぁーくん♡」



蒼空「どうした?」




ほろ酔いな蒼空は

優しく笑う。




海桜「のんれー♡はい♡」




と、自分の飲んでいた

缶ビールを差し出す。




蒼空「うん(笑)ありがと」



海桜「あ、私、ちょっと化粧室行ってくるね」




立ち上がる海桜を見て

蒼空も腰を上げる。




蒼空「行くぞ」



海桜「ん?」



蒼空「お前1人じゃあぶねぇ(笑)」



燐斗「あ‼じゃ、じゃあ…俺も‼」




燐斗も立ち上がろうとする。




渚咲「あんたはいーのっ‼」



燐斗「えーーー」




と、渚咲に制止されて

泣く泣く居残る燐斗をよそに

フラフラと歩く海桜を支えて

蒼空が歩き出す。




海桜「待っててね♡」



蒼空「早くなー」




と、蒼空は

近くの木に寄りかかって

海桜の帰りを待っていると

そこへ声がかかる。




鈴花(レイカ)「蒼空?」




顔を上げると

見覚えのある顔だった。




蒼空「おー」



鈴花「久しぶり」



蒼空「あー、うん」



鈴花「会社か何か?」



蒼空「今日はそう言うんじゃないから」



鈴花「でも、誰かと一緒…よね?」



蒼空「うん、前に言った事あったっけ?

幼馴染みで妹みたいに可愛がってる娘と

その友達に休みなら連れてけってせがまれてな」



鈴花「海桜ちゃん(笑)?」



蒼空「そう」



鈴花「海桜ちゃんかー。会ってみたいな」



蒼空「そろそろ戻ってくるよ」



鈴花「待ってていーい?」



蒼空「うん」















数分後。


化粧室から出ると

すぐに蒼空くんが女の人と

話してるのが見えた。


笑っているけど

なんとなく

蒼空くんの表情は

曇っているように見えた。




海桜「蒼空くんお待たせー」



蒼空「ちゃんと手洗ったか?(笑)」



海桜「当たり前れしょー(笑)」




なんだか

触れられたくないって

感じにも見えて

逆に凄く気になって

自分から話を戻す。




海桜「蒼空くん、だーれ?」




鈴花「あ、鈴花です。

蒼空とは大学時代の友人だったの。

会うのは久しぶりなんだけど(笑)」



蒼空「うん」



海桜「あ、海桜です。

えーっとぉ、蒼空くんとは幼馴染みで…」



鈴花「知ってるわ(笑)

蒼空からよく俺が可愛がってる

妹みたいな女の子がーって

毎日聞かされてたから(笑)」



海桜「え?」



蒼空「鈴花!余計な事は言わなくていーんだよ」



鈴花「あら、余計な事だった?(笑)」




イタズラに鈴花が笑う。




蒼空「相変わらずだな。お前は」




端から鈴花さんと

蒼空くんのやり取りを見ていて

何となく察しはついた。


きっと鈴花さんは

蒼空くんの事がずっと好きで

今もきっと…




鈴花「あ、そうだ‼

蒼空、連絡先変えた?」



蒼空「いや…変わってないよ」



鈴花「後で連絡してもいい?」



蒼空「……うん」



鈴花「それじゃーね」



蒼空「…おう」




別れてからも

蒼空くんは笑いながら

やっぱり曇っているように見えて

海桜はそれを吹き飛ばしたくて

ずっとテンションを保つ為にも

ガンガン飲んで騒いだ。




海桜「燐ちゃん‼飲むよ‼」



燐斗「お♡飲むか‼」



渚咲「もー2人とも程々に!」
















海桜「う"ー」



燐斗「zzz…」



蒼空「飲みすぎ(笑)」



渚咲「もー…普段全然飲まないくせに

飛ばしてあんなに飲むからー(笑)」



蒼空「ほら、立てるか?」



海桜「ん"ーーー……ムリ…」




ーーーー♪♫♪♬ーーーー




蒼空「ん、ごめん、ちょっと頼むわ」



渚咲「大丈夫です」



海桜「ん…気持ち悪い〜」




と、海桜が

悟られないように

明るく振舞っているのが

分かってしまって

渚咲が口を開く。




渚咲「何かあった?」



海桜「え?なんで?」



渚咲「なんとなくね(笑)」




と、海桜の背中を擦りながら

優しく笑う渚咲。




海桜「う"〜…(泣)」




渚咲に見透かされて

思わず涙がポロポロと流れる。




渚咲「もー、後で聞いてあげる」




その涙を見て渚咲は

なんとなく原因に察しはついたから

その場ではそれ以上口にしなかった。




海桜「うん……(泣)」




気が付かないフリをしてあげるのも

また友情だと思ったからだ。


そして蒼空が戻ってくるまでの間に

なんとか海桜を落ち着かせて

寝息をたてている燐斗を起こす。




渚咲「この、愚民‼」




パシンッ‼

と燐斗のおでこを渚に叩かれて

目を覚ます燐斗。




燐斗「………いってぇ‼」



渚咲「起きなさい‼帰るわよ」



燐斗「え?……もう?」



渚咲「これ以上外に居たら海桜が風邪を引くわ‼

海桜も、もうオジ様が来てる頃じゃない?」



海桜「あ!お父さん‼」




それからお父さんに

慌てて連絡して

迎えに来てもらい

私達はそれぞれの家路につく。

















蒼空「海桜、着いたぞ」




いつの間にか

蒼空くんにもたれかかってたみたいで

ハッとして目が覚める。




海桜「あれ⁉ごめん‼」



蒼空「いーよ(笑)」



海桜「ありがと」



蒼空「なんだよ?(笑)なんか元気ないな」



海桜「そうかな?

たぶん結構飲んだからじゃない?」



蒼空「海桜が言いたくないならいーよ」



海桜「本当だよ?何もないよ」




明るく振舞ってみるけど

蒼空くんは気がついているみたいだった。


だけどそれ以上は

何も言わず、聞かずで

何時も通りに戻っていた。
















PM 23:38

やっと蒼空くんが帰った。


そして一息ついて

私はベットへと倒れ込んだ。




ーーーー♪♫♪♬ーーーー

新着メッセージ。




[渚咲 : 落ち着いた?]



[海桜 : うん、さっきは泣いちゃってごめんね(´;ω;`)]



[渚咲 : 大丈夫♡蒼空さんはまだ一緒?]



[海桜 : んーん、さっき家に帰った所だよ]




ーーーー♪♫♪♬ー[渚咲:着信]




海桜「はーい」



渚咲「それで?」



海桜「別にね、何かあった訳じゃないの……。

ただね、蒼空くんの事

呼び捨てにしてる女の人がいてね

トイレの前で蒼空くんと話しててさー」



渚咲「うん」



海桜「大学の時の友人って言ってたんだけど

なんかしばらくの間

連絡取ってなかったみたいでさ。

それで、何かあったのかなー…って

勝手に想像しちゃって、

なんか勝手にぐるぐるしちゃってさ」



渚咲「まぁ、漫画とか映画なら

別れた彼女とか

昔好きだったけど訳があって

付き合わなかったとかーって

感じの想像をした訳ね」



海桜「…うん…」



渚咲「海桜はさ、言わないの?

蒼空さんに好きだって」



海桜「言えないよ…」



渚咲「なんで?」



海桜「だって、蒼空くんにとっては妹なんだもん…」



渚咲「でも、言わなきゃそのままよ?」



海桜「そう…なんだけど…ね」



きっと蒼空くんは

あたしが好きだと伝えても

変わらずに接してくれる。


でも、それは

妹としてのポジションで

もしもって考えると

あたしはその立場から

一歩も動く事ができなくなるって事で

それを受け入れて

蒼空くんにおめでとうと

素直に言える気がしない…



海桜「ねぇ渚ちゃん」



渚咲「ん?」



海桜「あたし…妹じゃなくなりたいな…」



渚咲「海桜…」



海桜「ごめんね、我儘だよね(笑)」



渚咲「我儘でも良いんじゃない?

あたしは、海桜が幸せになるように

応援するだけよ」



海桜「大好き♡」



渚咲「知ってるわ(笑)あたしも好き♡」

















蒼空の部屋で

ふとした瞬間に着信が鳴る。


ーーーー♪♫♪♬ー[着信:0906833XXXX]


知らない番号からだった。




蒼空「はい」



鈴花「蒼空?」




名前を聞かなくても

分かった。




蒼空「うん」



鈴花「あたし、鈴花」



蒼空「うん」



鈴花「番号、本当に変えてなかったのね」



蒼空「……まあね。」



鈴花「今、お家?」



蒼空「そうだよ」



鈴花「蒼空、今から出てこれない?」



蒼空「んー、いいけど。ドコにいんの?」



鈴花「噴水公園」



蒼空「わかった。近くだからすぐ着くよ」



鈴花「待ってるね」





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