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………………………。
AM 10:09
蒼空「ん…あれ?俺………‼え⁉」
隣で寝息をたてて
眠っている海桜に気がつく。
しかも自分で
後から腰に手を回していた。
蒼空「うわ‼」
海桜「……んー…蒼空…くん?」
寝ぼけ眼で目をこすりながら
目を覚した海桜。
蒼空「お前なんでここで寝てるの?」
海桜「ここ、海桜のベットだよ」
蒼空「え?」
海桜の言葉に
唖然として言葉が出てこない。
海桜「蒼空くん、覚えてないの?(笑)」
蒼空「な、なにが?(汗)」
海桜「突然勝手に部屋に入ってきて
暴れてそのまま寝ちゃって
お父さんに連れてってもらおうと
思ったんだけど…」
蒼空「え?」
海桜「俺は海桜と一緒に寝るー♡って
離してくれないから
そのまま仕方なくみたいな(笑)」
蒼空「え、ごめん…」
全く見に覚えのない
恥ずかしい一面に赤面しながら
頭を抱える蒼空。
海桜「何かあったの?
蒼空くんが酔っぱらいなとこなんて
初めてみたよ(笑)」
蒼空「や、会社の新歓迎会があって…
飲まされたとこまでは覚えてるんだけど…
正直その後は…ごめん…」
海桜「ふふふ(笑)
でも、一緒に寝るのなんて
何年もしてなかったけど
すごいあったかかった(笑)」
蒼空「なにを呑気に
これが……他の男だったら…」
ブツブツと呟く蒼空とは
裏腹に本当に呑気な海桜。
海桜「なに?」
蒼空「…なんでもないよ////」
海桜「そ?(笑)」
蒼空「ってかコレってもしかしなくても
親父さん知ってるよね?」
海桜「うん、だって
お父さんが引き剥がせなくて
諦めたんだもん(笑)」
蒼空「や、…それならいいんだけどな////」
ふと、時計に目を向けた
海桜が起き上がる。
海桜「そろそろ起きよーか(笑)」
蒼空「お、おう……そうだな////」
リビングへ降りると
何だかガヤガヤしてる声がした。
海桜「おはよー…誰か来てるの?」
パジャマ姿のまま
海桜がリビングへ入ると
母親が台所に立っていた。
母親「あら、起きたのね。
燐斗くんと渚咲ちゃんが来てるわよ(笑)
ちゃんと説明はしといたわ♡」
悪戯とも取れる
にこやかな笑顔をしながら
言う母親に驚く海桜。
海桜「え‼何言ったの‼」
母親「そりゃあー、お泊りして
で、二人で同じベットで寝てるのよーって(笑)」
ウキウキと話す母親に
すかさず否定をするも
間違ってはいない事実の出来事に
困惑してオロオロとする海桜。
海桜「ち、違ッ…くないけど違うもん‼」
と、文句を言ってる所へ
蒼空くんが着替えて
降りてくるのが見えて
ハッとした時には
もう手遅れだった………。
ガチャ。
蒼空「海桜ー、風呂入れてー」
ガチャリとリビングのドアを
真顔で思いっきり開けた
半裸状態の蒼空。
そして、
思いもしない先客に
戸惑いながらも
平静を保つ。
蒼空「あ、お客か」
燐斗「………おい」
と、声をした方を見ると
突然怒りの表情を浮かべて
突っかかってくる燐斗が
蒼空の体を思いっきり引っ張って
ドンッとそのまま壁に押し付けた。
蒼空「なに?」
昨夜の記憶が殆どない蒼空にとっては
見覚えのない顔だったと言うこともあって
思わず眉間にシワをよせる蒼空。
でも、そんな事はお構いもせずに
怒りをぶつけてくる燐斗。
燐斗「いくら幼馴染みだったとしても
泊まりはねぇーんじゃねーの」
蒼空「なに?お前だれ?海桜の何なの?」
蒼空も負けずに
喧嘩腰で食って掛かる。
燐斗「彼氏って言ったら?」
と、燐斗がハッタリをかますと
蒼空の表情が更に歪む。
海桜「もー‼やめて‼」
と慌てて仲裁に入るも
あえなく止めることはできずに
オロオロとしている海桜。
そこに渚咲がすかさず入る。
渚咲「やめなさーーーーーーい!」
燐&蒼「え?」
渚咲「海桜が怖がってるわ‼
それと、燐にはもう一つあるわ‼
あなたはただの友達でしょ‼
海桜は、あたしのなんだから‼
何回言わせるのよ‼」
渚咲から一括が入る。
燐斗「ご、ごめん…でもさー」
渚咲「でもじゃない!
だいたい、あなたは人の事は言えないじゃない!
この変態!」
ギャーギャーと
渚咲と燐斗の声が響く。
と、そこに不意に疑問が浮かんだ。
海桜「ところで、なんで二人が来てるの?」
海桜からの疑問が飛ぶと
渚咲が燐斗を押さえ込みながら応える。
渚咲「あー、それは昨日から燐が煩くて…」
海桜「ん?」
渚咲「ほら、昨日帰るときお兄さんが
海桜の部屋で寝ちゃってたのを見てから
そのままで燐斗を引っ張って帰ったじゃない?
で、その後電話したりとか
LINEしたりとか何度もしたらしーんだけど
海桜に何度かけても繋がらないって
一晩中うるさくって…」
と、呆れた様子の渚咲に加えて
蒼空が口を開く。
蒼空「なに?お前ストーカー?」
と、また真顔で突っかかる蒼空。
燐斗「言わせておけばー‼(怒)」
海桜「もー蒼空くん!」
蒼空「それより、海桜、風呂ー」
海桜「あ、うん、沸かしてくる」
渚咲「あ、じゃあ、私も手伝うわ」
海桜「ありがとー♡」
パタパタと
二人がいなくなったのを
見計らうようにして
蒼空が口を開く。
蒼空「お前、海桜が本当に好きなのか?」
突然の言葉に
少し驚きながらも
燐斗は正直に答える。
燐斗「好きじゃなかったら来ねぇよ」
燐斗のその言葉に
少しの安堵と寂しさに加えて
戸惑っているようにも見える表情の蒼空。
蒼空「そっか。
じゃー、俺に意地でも勝てよ」
燐斗「当たり前」
そこに海桜が戻ってくる。
海桜「蒼空くん、お湯はすぐ湧くから
シャワーで先に入ってきたら?」
蒼空「ん、わかった」
と、優しく笑う蒼空と
海桜が綺麗にたたんであるタオルと
昨日蒼空が着てた服を渡す。
渚咲「なんか、新婚みたいね(笑)♡」
その様子をニコニコしながら
見ていた渚咲が言った。
海桜「も!もー////」
と、耳まで赤く染まっている海桜とは逆に
渚咲の茶化しにのってくる蒼空。
蒼空「新婚かー。海桜、お前さ
[あなた、お背中流します]
って言ってみ?(笑)」
海桜「もー////」
更に耳を赤くして
ポカポカと
力無く抵抗する海桜。
蒼空「いっ…て、冗談だろー(笑)」
海桜「冗談でも、だめー」
蒼空「小さい頃は一緒に入ったじゃん(笑)」
じゃれつく二人を見て
燐斗が呟く。
燐斗「俺に勝てって…
勝たせる気ゼロじゃん…」
その言葉に渚咲が笑う。
渚咲「当たり前じゃない(笑)
本当、バカねー(笑)」
そう言いながら
燐斗の頭をくしゃくしゃと撫でる渚咲。
燐斗「うっせぇー…」
それから海桜は
蒼空の背中を無理矢理に浴室まで押していき
尚もからかってくる蒼空を置いて
ブツブツと呟きながら
リビングに戻ってくる。
海桜「やーっと解放されたーーー」
と、ヘタリつく海桜。
渚咲「あ、ねえ海桜」
海桜「なに?」
渚咲「蒼空さんてこのあと何か用事あるのかな?」
海桜「んー。わかんないけど。
たぶん仕事は休みなんじゃないかな?」
渚咲「じゃーさお酒買って
お花見にでも連れてってもらおー♡」
と、悪戯に燐斗をからかうようにして
渚咲が海桜に提案を持ちかけると
あからさまに燐斗が嫌そうな顔をする。
燐斗「えーーーー…」
だけど、
海桜にその言葉と気持ちは
全く伝わらなかった。
海桜「うん、蒼空くんに聞いてみる!」
燐斗「あの人も誘うの!?」
あからさまに
テンションが下がる燐斗。
渚咲「あたり前じゃない(笑)
燐斗だけじゃものたりないもの♡
ね?海桜?(笑)」
渚咲がまた
イタズラに笑う。
それから、
蒼空がシャワーから出るのを待って
出かける準備をした。